第22話 よくある朝の風景


「やっと終わったわね」

 カグヤが言うのだが周りが騒いでいる。

「おい!お前らがこのダンジョンを攻略したのか!ダンジョンコアをよこせ!」

 男が飛んでくるがシンジが盾になって男を遮る。

「俺たちがダンジョンを攻略して何が悪いのか?」

「悪いに決まってるだろ!ここは河合クランが攻略中だったんだぞ!」

「ここは河合クランのものなんですか?」

 ギルド職員に聞くタダスケはギルド職員が首を振るのを確認して、そいつに言う。

「ダンジョンは誰のものでもない!強いて言えば早い者勝ちだろ?」

「そ、それでもだ」

「わかんない奴だな?ここは80階層まであったぞ?それでも俺たちに勝てるのか?」

「なっ!ぼ、暴力で解決する気か?」

「じゃあなんで解決するんだ?」

「…じゃ、じゃんけんとか」

「ふざけんな!おとといきやがれ!」

 タダスケは男をぶん投げて外に出すと、

「もう帰ろうか」

「だな」

「明日またタクマの家でいいか?」

「おう、俺はいいぞ」

 と言うことで久しぶりのダンジョン攻略に久しぶりの外だ。こんなに長く潜っていたのはいつぶりだろうか。


 ロッカーでシャワーを浴びて出るとシンジがいたので飲むことになった。


「あははは、んじゃ自衛隊にはいったのは引き篭もり脱出の為だったのか?」

「そうっす。自分、元々体が弱かったので強くなりたかったんですよ」

 今のシンジからは考えられないが、よく育ったもんだな。


「あっ!おかわり下さい!」

「はーい」

 活発で明るくて正義感の塊のようなシンジが元引きこもりとはこれいかに!


「カグヤさんのおかげなんです」

「カグヤが?」

「そうです。早くに一尉になって羨望の眼差しで見てました。俺もあの人の横でと」

「叶ったじゃないか!」

「はい!タクマさんにも助けられてます。ありがとうございます」

「あはは、俺は何もしてないよ」

「いや。一般人であれだけ強かったら憧れますよ」

「褒めても何も出ないぞ?あははは」

「あははは」


 そうか、俺は一般人だったのに何故か冒険者になって元カノのことなんてすっかりどこかに行ってたな。

「俺なんかなぁ、…」


「つぅっ!」

「ぐがぁ」

 あぁ、あの後俺の部屋で飲み直したんだっけ?にしてもよく寝てるな。

「ん?」

「しー、私が好きでやってることだから静かにしときなさい」

 そこにはエプロン姿のカグヤとユカリがキッチンに立っていた。鍵をかけわすれたようだな。

「はい、コーヒーです」

 ユカリが持って来てくれる。

「ありがとう」

 こんな俺のどこがいいのかわからないが好意を寄せられてるのは少し照れくさいな。


「ぐがっ!…あれ?あ、おはようございます。って、なんでカグヤさんが?ユカリまでいるし」

 シンジが起きてビックリしている。

「私は彼女に立候補したからですよ!誰かさんと違って?」

 ユカリが言うと、

「私もりっ、立候補する!あーもう、恥ずかしい」

 カグヤさんまで言うことないのにな。

「あははは、モテモテですね?タクマさん?」

「あはは、は、は、」

 好意は嬉しいが選べと言われても選べないじゃないか。

「大丈夫ですよ、いつまでも待ってますから」

「私だって!」

「もうアラサーなのに?」

「くっ!できるだけ早めで頼むな!」

「はい!」

 じゃないよ、選べないんだって。ヘタレでもなんでもいいや。


「うっわ!美味そう!」

「シンジのために作ったんじゃないからね」

「分かってますよ!いただきます!」

「いただきます。…ぅまい」

「だろ?それは私が作った卵焼きだ!」

 カグヤが身を乗り出してくる。

「私のも食べて下さいよ」

「あぁ、…これも美味い」

「やった!」

 どちらも普通に美味いからなんともいえないのだよ。



 美味しい食卓で不穏な空気の中、よく食べれるなシンジよ。


「これもぅまいっすねー」

「「お前のは聞いてない!!」」

 おお、ハモったな。

「あははは、いいじゃないっすか!自分育ち盛りなんで」

「そう言うのは10代の言葉だぞ?」

「えー?でもまだ背は伸びてますよ?」

「マジか!?」

 シンジのポテンシャルの凄さが羨ましいよ。


“ピンポーン”

「「はーい」」

 女2人で争いながら走って行く。

「おっ!今日も修羅場だな。おはようみんな」

「「チッ」」

 タダスケが来てようやく落ち着いて食えるな。

「おう!タダスケ!おはよう」

 

 みんなが揃ってからようやくダンジョンの話だな。


 それからタマキが来て六人になったから金貨を分け合い、装備を整えて行く。


 俺はやはり剣術が極になったから剣にするつもりだ。双剣でもいいな。

 タダスケもやはり剣らしい。

 シンジはハンマーと大剣を買っていた。

 タマキは槍、ユカリは杖と弓にしたみたいだ。

 カグヤはサーベル一筋だな。

 まぁ、金貨は大量に手に入ったから装備も一新してしまう。


「これでいいか、スキルはどうだ?」

 みんなを鑑定してみる。


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 黒鉄 輝夜クロガネ カグヤ29歳

 レベル112

 スキル 剣術極 料理 一閃 中級風魔法 初級雷魔法

 ユニーク 電光石火

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 立花 紫タチバナ ユカリ23歳

 レベル 109

 スキル 鷹の目 上級弓術 上級土魔法 上級水魔法 弱点看破

 ユニーク 紫電

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 小坂環コサカタマキ 20歳

 レベル 110

 スキル 槍術極 中級雪魔法 突撃 ウィンドスラッシュ 初級風魔法

 ユニーク 料理

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 大垣慎二オオガキシンジ 25歳

 レベル105

 スキル ため斬り 上級剣術 初級鎚術 中級火魔法 守護盾

 ユニーク 頑強

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 白井忠輔シロイ タダスケ 28歳

 レベル112

 スキル 剣術極 スラッシュ パリィ 中級風魔法 初級雷魔法

 ユニーク 身体操作

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 みんな強くなったな。最後に俺のは、


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 沢 拓磨サワ タクマ  25歳

 レベル142

 スキル 剣術極 身体強化 生活魔法 火魔法極 上級風魔法 中級水魔法 上級土魔法 中級雷魔法 回復魔法 鑑定 

 ユニークスキル スマホ(無限収納、マップ、ヒント、階層転移、ショップ、加工屋、ダンジョン生成)

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