第16話 ダンジョンコア


 あれから一か月が経つがみんなのレベルも上がり、現在は46階層でみんなで戦っている。

『キュ!』

「ナイス!ソラちゃん」

 ゴールドウルフがここで出てくるとはね。

 今は俺以外がゴールドウルフ装備になっている。

 ここでレベル上げ兼素材集めをしたのでしょうがないが。

「どっせい!」

『ギャンッ!』

 シンジも大剣の扱いに慣れて来たところだ。前は結構振り回されてたからな。

 金貨は山分けにしているのでそれなりに装備も変わって来ている。

 タダスケはミスリルソードを買った。

 俺のを見て欲しくなったらしいのと、一緒にバックも買ったらしい。奥さんに強請られたらしい。


 カグヤはサーベルになっている。やはり剣よりそっちの方が向いているそうだ。

 ユカリも弓を新調して魔弓と言う矢のいらないものになった。これで矢の心配はしなくて済むそうだ。魔力を使うのでそっちの心配が出て来たが魔法は使わないので大丈夫とのこと。

 タマキは何か欲しい物があるようで金貨を貯めている。まぁ、欲しいものを買うのが一番だけどな。

「っと!よっ!」

 ゴールドウルフが背後から現れたので軽くあしらってシンジの方に回すと、

「どりゃあ」

 と一刀両断してしまう。

 みんなそれぞれいい味出して来てるとおもうのは俺だけかな?


「この調子で50階層まで今日は行くよ?」

「「「「おう!」」」」

 まぁ、あの時のドラゴンみたいなのがいるわけないし大丈夫だろ。


 49階層のボス部屋に来て、ビッグトロールだった。

「やっぱりドラゴンじゃないわな」

「え?」

「いや、こっちの話」

 みんなに言ってもしょうがないからね。


 結構苦戦しながらもようやく倒せたな。再生持ちのビッグトロールは斬っても斬ってもすぐに再生してしまうので難儀だった。

 再生も無限じゃ無かったらしくてようやく倒せて良かった。

 宝箱には金貨が一杯詰まっており全員で分けてもかなりの額である。

「よし!あーしのあれが買える値段になったな!」

 おっ!タマキの欲しかったものってなんだろ?

「あっ!可愛い!」

「っしょ?これ狙ってたけどなかなかたまんなくてさぁ」

「ほう、どの防具より性能がいいな」

 タマキの欲しかったのは防具だったらしい。まぁ、オシャレを楽しみたい年頃だからなぁ。

「どうよ?このセンス」

 ミニスカートにオシャレなロングブーツで今風な感じに仕上がっている。

「似合ってると思うぞ」

「いぇーい!やったね」

「「グッ!」」

 ユカリとカグヤにピースサインをするタマキは勝ち誇っているようだった。


「私も金貨をためてオシャレな防具をゲットしてやるんだから」

「ファッション雑誌を買わないと今風が分からないわね!金貨も貯めなくちゃ」

 2人とも無理しないようにな。


 50階層に上がると暗闇の中にダンジョンコアが光っていた。

「ダンジョンコアだ!」

「これでここは攻略したわね」

「で?これはどうするんだ?」

「私達でもらってもいいでしょ」

「そうだな、まだダンジョンはあるし、そんなことはニュースでも言ってなかったしな」

「書類にも書いてませんでしたから大丈夫でしょう」

 全員で触ってみるとスキルが一つもらえたようだ。

 あとはこれを、

『ダンジョンコアを受け取りますか?』

「イエス」

 俺が言うとダンジョンコアは俺の手元に来てギルドの中に転移した。


 と同時にギルド職員が話があると別室に連れて行かれた。

「なになにー?」

「さあ?」

「これは任意か?」

「すみませんがお願いします」

「はぁ、まさかこうなるとは」

「え?タダスケは分かるのか?」

「こうなったら国が動くってことですよ」

「「「「あぁ…」」」」

 まぁ、予想はしてたけどな。


 一時間ほど待たされてみんなお菓子を食べながらゆっくりしていると、

「いや、待たせたようだね」

 大柄な男性が入ってきた。

「私はダンジョン統括係の忍田と言う者だ、ダンジョンコアはこれか」

「はい、これがダンジョンコアです」

「君達のことは聞いている。この中にこれを加工できる人間がいると聞いているが?」

「私でしょうね」

 はぁ、めんどくさいなぁ。

「そうか、それではこれの買取金額が一億、加工料が一億でどうだろうか?」

「はぁ、それで「いいわけないだろ?」えっ?」

 横からタダスケが言って来た。

「ダンジョンコアはただでさえ貴重な物だ。一億で買取なんて安すぎる!しかも加工までして欲しいのならそれ相応の誠意を見せるのがスジではないか?」

 タダスケ!言いすぎるなよ?


「そうだな、私も国からこう言えと言われただけなのでどうしようもないのだが、言われたことは分かるので、また後日会ってくれないだろうか?」

 できる大人だなぁ。

「そうですか、それなら連絡先を交換して今日は無かった事としましょう」

「そうか、ありがたい」

 忍田さんとタダスケは連絡先を交換して俺たちはギルドを後にした。


「タダスケ凄いな」

「あれで納得しようとしたのが間違いですよ?あれだとこれからも一緒の対応になりますからね」

 使えないほど金をもらってもしょうがないと思うのは俺だけだろうか?

「ダンジョンコアはタクマが持っていてくださいね」

「あ、はい」

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