第11話 足並み


「なんでみんなもらってんだよ!」

 河合が駄々っ子のように叫んでる。

「しょうがないだろ?お前1人でチームなわけじゃあるまいし」

 クロガネはことも無しに言うと鞄を一撫でする。

「いいなぁ!クロガネ一尉だけ」

 紫と小坂は羨ましそうにしている。

「ただのプレゼントだ。他意は無い…と思う」

 顔を赤くするクロガネに膨れる紫と小坂。

「大剣だぁ!これで隊に貢献できる」

 大垣と白井はどこ吹く風で自分の獲物を磨いている。

「ま、まぁ、これでさきに進むことができるな」

 河合は強がりで言っているようだがしょうがないな。

「よし!進むぞ!」

「「「「「はい!」」」」」



「ふわぁあぁぁぁ…おはよ、ソラ」

『キュキュ』

 俺は起きてすぐにソラがいたのであいさつをし、顔を洗いにいく。

 ソラも横で顔を洗ってる真似をしている。

 可愛いもんだな。

「さてと、朝飯でも食うかー」

 兎肉のソテーに目玉焼きを乗せて、パンと一緒に食べる。ソラにももちろん作ったら気に入ったらしくムシャムシャ?食べている。と言うか消化しているな。


 ソラが従魔になったことでソラのステータスも見れるようになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ソラ 性別不明 

 グラトニースライム変異型

 レベル 50

 スキル

 消化液 状態異常無効 上級風魔法

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「強いな!ソラ!」

「キュキュッ!」

 思ったより強くてビックリしたなぁ。

 でもこれで2人でダンジョンに潜れるな。


 32階層、

「キュッ!」

“ジュワワワ”

 ソラの消化液が強すぎて俺の出る幕がないな。

 でも負けてられないから俺も頑張るとするか。

 32階層はゴールドウルフ、鬣があるからライオンに見えなくもないな。

『ガオォォオォォォ!』

「よっと!」

 毛皮と魔石をドロップしている。

 ・毛皮を集める 21/100

 毛皮を集めるのはいいけど何でこうもヒントアプリはピンポイントでお題を出してくるんだ?

 まぁいいけど、

「ソラ!毛皮100枚集めるぞ」

『キュキュッ!』

 ソラと別れて狩りを続ける。


 一時間ほどで空が戻ってきたら凄い数の毛皮を出してきた。

 俺は50枚くらいしか集められてないのに。

「凄いなぁ」

『キュキュッ!』

『実績達成、加工屋がインストールされます』

 ほう、加工屋かぁ、毛皮のコートとかかな?それとも毛皮の防具かなぁ。

 ・毛皮のコート

 ・毛皮の防具

 調べるとどちらにもなるようだったので防具を作ってもらうことにした。

 まぁ、ミスリルの防具が壊れない限り使わないからまた自衛隊にでもプレゼントするかな。


 とりあえず三つ分作れたのでプレゼント機能で女の子達に贈っておいた。

 男は大丈夫だろう。


 ボス部屋は光り輝くシルバーのウルフだった、大きさもさることながら威圧感が凄い。

フェンリルかと思ったが違うようだ。


 ソラの消化液も軽々と避けてくる。

 “ガキィーーン”

 俺のミスリルソードが牙と同様の硬さだと?

 鍔迫り合いの様な形になってしまったが、ソラの消化液がかかりよろけた瞬間に連携して倒したら牙と大きな毛皮と魔石、宝箱にはアックスと金貨が大量に入っていた。


「おぉっ!金貨がこんなにあると使い道に困るけど、うーん、ショップに魔導書なんかもあったからそれでも買うようにするかな?」

「キュキュッ!」

 

 33階層を下見して兎肉を取りに行く。


 部屋に戻るとプレゼントのお礼のメッセージと男どもから自分にはないのかとのメッセージが入っていた。加工屋があるのは俺だけだからまぁ、気が向いたら作って送ってやろう。


「美味っ!やっぱり兎肉は美味いな」

「キュッ!」

「だよなー!」

 ソラもビールを飲みながらつまみに食べている。

 ダンジョンがある世界は悪いことなのかな?

 今の俺には分からないし、強くなっていく自分が楽しくて仕方ないけど、あと四年でタイムリミットだ。それまでに答えが出るといいのだが…


 

 こんなに貰っていいのだろうか?

 クロガネは自分の装備を撫でてそう思っていた。

「けっ!拓磨のやろう俺にはないのかよ!」

 河合はそうごねるが、

「こら!拓磨殿の悪口を言うな」

 とクロガネに怒られて拗ねている。

「ダンジョン産の防具があるだけで心強いですよね!」

 同じく貰った紫と環は嬉しそうに毛皮の防具を撫でている。

「ショップで探したら金貨20枚は掛かるゴールドウルフの防具じゃないですか!それを三着も…沢さんに後で聞かなくては」

 白井はどんなカラクリがあるのか聞くつもりだ。

「それより早くダンジョンを突破していくぞ」

 現在自衛隊は12階層を進行中だった。

 やはり拓磨の方が先に進んでいるが堅実に進むことにしたようだ。


「前方敵発見、二体です」

「紫!」

「はい!」

 紫が弓で牽制し、一帯に命中し倒すと河合が突っ込んでいって敵を切り刻む。

「こら!河合!前に出過ぎだ!」

「これくらいの敵じゃレベルも上がらなくなって来てるんですよ」

「それでもだ!紫や環はまだレベルが低いからな、大垣もレベルを上げたいだろうし私と河合は後方支援に回る」

「チッ!わかりましたよ」

 ダンジョン攻略部隊として集められたので曲者揃いな隊だが今は2人だけが突出している。それもレベルを合わせればなくなるだろう。

「白井も積極的に動けよ」

「はい!」

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