第3話 5階層


 あれから一週間、毎日同じようにヒントアプリをこなしながらダンジョン に入っていまは3階層も楽にこなせるようになった。


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 沢 拓磨さわ たくま  25歳

 レベル20

 スキル 中級剣術 身体強化 生活魔法 初級火魔法

 ユニークスキル スマホ(無限収納、マップ、ヒント)

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「ファイヤーボール!」

『グギャ』

 弓使いのゴブリンにはファイヤーボールがよく効くな!

 剣術も中級剣術になり身体強化も相まって凄いスピードで剣を振れるようになった。

 

 三階層の扉も見つけたので入っていく。

『グギャグギャ』

「ゴブリンが五体に少しデカいゴブリンが一体か」

 少しデカいゴブリンは微動だにせずゴブリン達をけしかける。

 ゴブリン程度なら無双できるのでさっさと倒してしまう。

『グギャギャ』

「何言ってるかわかんねーよ!」

“キンッ”

「なっ!俺の剣が効かないのか?」

 よくみると小手をしているのでそれで弾いたようだ。

「ぐふっ!」

 もろに腹にパンチを喰らい壁に吹っ飛んで止まった。

「ガハッ!はっ!はっ!」

 くそっ!舐めてかかったな。

 液体の入った瓶を開け口に含み飲み干すと、ケガが治る。

「よし!もうヘマはしないぞ」

 ポーションだと思って賭けに出たが勝ったらしい!良かった!

『グギャギャ』

 先手を取って足を狙う。

『グギャ!』

「ここだ!」

 上に斬りあげる。首が落ちるのと同時に消えて行くゴブリン。


「ヤバかったな」

 ちょっと舐めてかかった。危なかった。…やはり命懸けなんだな。

「あー、やめやめ!自衛隊がなんとかしてくれるっしょ?」

 次の仕事も探さないといけないしな。


 宝箱には綺麗な腕輪が入っていた。

「うおっ!これ取れねー!」

 腕輪は吸い付くように腕にハマって取れなくなってしまった。

 ん?今日の日付とプラス二年と三か月?

「え!これってもしかしなくてもヤベェんじゃねえの?」

 爆弾?いや、腕に爆弾とかマジありえないし!

 こういう時のヒントアプリ!


・このダンジョンで腕輪の鍵を見つける0/1


「うそだろ!まじかよ!」

 結局俺はこのダンジョンから逃れられないらしい。



「…ヵギ寄越せこの野郎うぅ!」

 今は4階層でオークと戦っている。

 クソッ!こんなものに手を入れるんじゃなかった!

「あー!この豚野郎!こっちから行くぞ!」

 オークは豚肉と魔石(石コロだと思っていたらヒントアプリに出て来た)を落とすので無限収納に入れている。

 ・魔石の収集 112/10000

 なんでこんな鬼畜仕様になってんのかなぁ?

 最初は筋トレとかだったじゃん!

 ウオオオオォォォォ!

 やってられるかって言えれば最高に気持ちいいのに!言えない、この腕輪がとれるまでは…


 “ザンッ”

 オークが豚肉と魔石に変わる。


「クソッタレ!こうなりゃここからダンジョン制覇してやんよ!」



 その頃自衛隊はダンジョンに潜っていたが銃火器が効かないと言うことでサバイバルナイフで戦っていた。

「うわあァァァ!」

“ザンッ!”

 後ろから鋭い突きが出て来てその姿に圧倒される。軍服を着た女性だった。

「スライム如きで騒ぐな!今から指揮をとるクロガネ一尉だ!」

「「「「ハッ!」」」」

「行くぞついてこい!」

 クロガネはサーベルを器用に使いこなしスライムの核を的確に潰している。

「チッ!こんなことで呼ばれたのか!」

 クロガネは破竹の勢いでダンジョンを進んでいった。



 その頃タクマは、半べそをかきながら5階層を彷徨いていた。


「いてて、手の豆が潰れたよぉ、なんで俺がこんなことしなきゃダメなんだよぉー」

 剣なんか持ったことのないのに力に任せて振り回していたから手の豆が潰れてしまった。

 ポーションはあるけど一応は取っとくか。

 5階層はアシッドワームと言う大きな虫の幼虫が敵だから斬り付けるだけ倒せるがアシッドワームは体液が酸性なのでヒットアンドアウェイで攻撃しないといけない。

 ファイヤーボールで丸焦げにもできるけどなんかイマイチ決まらないんだよな。

「はぁ、戻るにも遠いしなんかヒントアプリにないのかよ!」

 ・5階層のボス撃破 0/1

 まじかよ、戻るのにやっぱりボス倒さなきゃいけないのかよ!


「しゃーない!行くか!」

 扉はすぐに見つかったが、アシッドワームの群れが邪魔すぎる。

「ファイヤーボール!」

 いまだ!

 隙をついて扉に滑り込むと扉が勝手に閉まる。

 中に入ると蛹の状態のアシッドワームがいた。

「ファイヤーボール!」

 ヘロヘロのファイヤーボールでは蛹には通用しないようだ。

「クソッ!ならこれでどうだ!」

 剣を使い縦に切ろうとすると“ギンッ”と言う音と共に蛹からアシッドワームの成虫が現れた。


 翅を広げ飛び立つのか大きな巨体が宙に浮かぶ。

「ファイヤーボール!」

 アシッドモスとでも呼べばいいのかグルンと旋回してファイヤーボールを避けてしまう。

 かと言って剣で届くような距離ではないのでどうすることもできない。

 そして鱗粉で身体の動きがおかしいな。

 痺れて来ているのか?

 ファイヤーボールでもないもっと強い魔法を…魔力を溜め込むようにしてみると、

 『実績達成、魔力の高出力を感知、中級火魔法を習得』

 ナイスタイミング!

「消し飛べ!ファイヤーストーム!」

『キュオォォォォォ』

 アシッドモスは燃え尽きて指輪と魔石に変わった。

『実績達成、5階層のボス撃破。ダンジョン間の転移が可能となりました。スキル鑑定を習得』


「よしっ!っと、…疲れたな」

 その場に尻をついて疲れ果てた俺は少し眠ってしまった。

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