第6話 軌道修正と砂漠の決闘
ミチとアヤメの動画が予想以上の大好評につき俺の初心者
向け動画は視聴者からの問いに答える動画に軌道修正して
美知留とアイリスの生放送時の解説者になって、空いた時間は
ポーション作成、マジックバッグ製造、スライム結晶魔石に
様々な魔法付与してギルドで販売して、時々その素材採取に
出掛ける、完全に裏方作業に特化することになった。
まず依頼されたのは魔法を使えるようにする為の魔発動する
スイッチに当たる物の作成だった。
例えると火を燃やすには可燃物と酸素と着火させる温度が
必要だ。可燃物はどんな魔法を使うのかのイメージだ。
酸素の代りに魔素が必要だがこの世界には豊富な魔素が有る。
足りないものはマッチとかライターとか火打石の様な
スイッチに代わるものなのだ。
そこで俺が結晶魔石に魔法発動魔法を付与する事により
一般人でも魔法を使えるようになる。
次は罠探知と敏捷性上昇、鑑定の3点セット。
後は顧客の求める能力を結晶魔石に付与して命を落とさずに
初級ダンジョンの第1層はクリヤしてもらい、スライムハニー
や魔石、あわよくば階層主の結晶魔石を採取して来て
もらうのが目的だ。階層の攻略が進むにつれて更なる魔法が
必用になって来るだろう。それはその時々に対処していけば
良いだろう。
日曜日、美知留とアイリスが緑葉第1ダンジョン2階層の
攻略動画配信の日だ。俺は強化本部の会議室で、生放送の
解説や、視聴者からの質問に答えることになる。
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「みんなー見てくれてるー?
【美知留とアイリスのそれいけダンジョン】
はっじまるよー!
「はっじまっるよー!」
「今日は昨日に引き続き、緑葉第1ダンジョンの第2階層
から始めるね」
「お姉ちゃん、砂漠だよ」
「遠くに岩山が見えるから、今日はあそこまで行って
みましょう」
「足が砂に取られて歩きにくいね。でもこうすれば
スタスタ歩けるよ」
[あれれ本当に足を取られずに歩いてる。何で?
教えて浩二さーん]
視聴者の方が親しみを込めて下の名前で呼んでくれてる。
「ならば解説しよう。アイリスが結界魔法で砂の上に
足場を作ったのです。これにより足元から飛び出して
くるサソリとかサンドワームの突撃が防げます」
[なるほど一石二鳥だねえ]
[ずっと結界を張ってたら魔力が枯渇するんじゃない?]
「大丈夫ですよ。あの子の魔力量は常人の1000倍は
ありますからね」
[アイリスちゃんすげー]
「あれ、足元に子犬が]
「シルバーフエンリルのペロです。いわゆる神獣とか聖獣
とか呼ばれる強力な助っ人です」
[:;。・*”#$%&……]
[ハニメスト人の方からの質問です」
「”#$%&*+><&……」
[スゲーよくわからないけど相手の人の言語で会話してる]
[確か15ヵ国語を話せるって言ってたような]
砂中にいたサンドワームが結界の切れ目をみつけたようで
100m位先に現れ蹴界の上に乗って美知留達の方に来ようと
してるが滑るのか中々進めないでいる。
【美知留とアイリスの靴底は何時でも最適な摩擦係数を保つように
魔法が付与されています。だから例えば氷の上でも普通に行動
出来ます」
俺が解説する。
[魔法って半端なく便利!俺も使いたい]
「今度誰でも使えるように魔道具を協会で販売する予定です。
但し、犯罪に使われないように安全装置が組み込まれる予定
ですけどね」
この言葉に海外の国々の反応が凄いことになっていった。
戦争に使おうと日本の情報を注視していた。北の大国やら
東アジアの大国やら、南北に分かれているあの国とあの国
とかが、魔道具が発売されたら直ぐに入手して母国に送れと
諜報部員に命令が発動されたのは言うまでもない。
「私一寸行って倒して来る」
美知留が走ってサンドワームの方に行く。ジャンプ、というより
10m位飛び上がって5m近い体高のサンドワームの上をとった。
右足を大きく振り上げて踵落としをする態勢になった。
するとサンドワームがギザギザ歯だらけの大口を開けて美知留
の降りる所で。待ち構えた。
[食われる!]
[避けれないの?]
視聴者の悲鳴が聞こえる。
「大丈夫です。見てて下さい」
美知留は落ち着いてワームの大口に向かって掌を差し出して
「【フアイア―ボール!】」
火の玉を口の中に放り込まれて,熱さにワームが悶え苦しむ。
動き回るワームの背に降りた美知留は何やら探していたが
ある一点で思い切り拳を振り下ろした。
ギュルルルルー
断末魔の悲鳴を上げてワームは動きを止めた。
1発の拳で退治できるワームの急所を探していたのだった。
美知留が拳をぶちかました背には大きく穴が開き鮮血が
噴出した。するとその血を飲もうとするように1本角の
薄茶色のウサギが砂中から飛び出してワームの傷口に群がった
見るとどのウサぎも体のどこかにサソリを付けている。
鑑定する。
【砂ウサギ、サソリに寄生されてその毒を消すためにサンド
ワームの血を
上級ポーションの素材になる。
肉は食用。下級ポーション程度の治癒能力を持つ】
【砂サソリ 砂ウサギの身体に取りついて移動手段にしている。
毒がウサギの行動を支配する。身は食用。無毒。尾を除去して
伊勢海老同様の調理法で食する。いたって美味】
俺は美知留にうさぎとサソリも討伐するようにとう言う。
アイリスも美知留の傍に駆け寄り砂ウサギに【スタン】を
掛けて動けなくする。命尽きたサンドワームが消えて大きな
魔石と上級ポーションと中級ポーションを各10本
ドロップした。その他10㎏米袋位のビニール袋に入った
物体が多数あった
鑑定【サンドワームの高級有機肥料。土壌改善。果樹の
最高級肥料】
だった。
砂ウサギと砂サソリは雷魔法で簡単に処理出来た。
ペロが大活躍した。
上級ポーションの素材になる砂ウサギの赤い角も大量に
手にいれた。ウサギの肉は干し肉にして回復効果付きの
干し肉として人気が出そうだ。
俺は鑑定結果を本部に告げた。本部からは後ほど公けに
出来る部分だけ放送するみたいだ。
視聴者の関心は美知留が魔法を使った事とパンチの強さに
集まっていた。
その後は岩山に辿り着くまで同様な経過を辿り、
岩山に第3階層の入口を見つけた。
転移用の位置座標を登録して本日の中継を終了した。
俺達親娘の関心は砂ウサギと砂サソリの調理法に
向いていた。
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