ゼロの軌跡(白の系譜)

仲仁へび(旧:離久)

プロローグ

第1話 普通の人間



 何もない空間が広がっている。


 ゼロという数字が飛び交っていて、意味が分からない。


 これは一体なに?


 私は首を傾げた。


 電子空間を泳ぐ私には分からない事だらけ。


 でも別にいいかな。


 きっと、それでいいかな。


 分からなくてもいい。


 分からないままでも、困らない。


 私は電子空間を泳ぎ続ける。


 好きなときに、


 好きな場所へ。


 ああ、こんな生活がずっと続けばいいのに。


 きっと、ここより良い場所なんてないわ。







 私は、普通の人間。


 特別な人間なんかじゃない


 だから異常な物語に巻き込まれてしまっても、何もできない。


 私は無力だ。


 ただの無力で普通な人間。


「いってきます!」


「いってらっしゃい」


 でも、だからって舞台だけ整えられても困る。


 私は、そんな異常な舞台には順応できない、ただの、普通の、小さな、無力な人間なのだから。


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