ベラドンナ

美琴

第1話

 高校に入学し、好きになってはいけない男に沼り狂ってしまった。


入学してから1ヶ月くらいが経ったある日、


「あの、陽香ちゃん、一目惚れしました」と、


違うコースの同級生から声をかけられた。そんなことは初めてだったから嬉しくなってしまい、仲良く連絡をとるようになった。正直タイプではなく恋愛対象でもなかった。でも浮かれ上がってしまい付き合うことになった。好きではなかったけれど一緒にいて楽しいから全く苦ではなかった。


彼と付き合う前、私は同じクラスの男がタイプで少し気になっていた。でもその男はチャラくてよく女の子に話しかけに行ったりと、私にとっては仲良くし難い雰囲気だったため自然と好意は失せた。


そんな中で彼氏が同じクラスの女の子とやたら親しくしていると耳に入ってきた。友達としての付き合いだったとしても距離というものがあるだろう、と思った私は嫌な気分になり、友達に相談していた。友達は私を理解して聞いてくれていた。でも解決はすることなく悪化していった。あまりにも不快で悩んでいた時同じクラスの蓮が相談に乗ってくれるようになった。


「こんなかわいいかのじょいるのにひどいねぇ」


「からかってるでしょ」


「フフッ、そんなことないよ、ほんとに蓮ならぜったいしあわせにするのに」


相変わらずチャラいな。そうこの蓮という男が私がタイプで気になっていた男だ。


「なんかあったらいつでも蓮にいってね」


「うん、ありがとう」


相談といってもいつもこんな感じだ。たまにこの男私のこと好きなのかな、と思ったりすることがあった。でも他の女の子にも同じような態度だからそれはないか、と思いながらも少し気になり出していた。


ある日思い切ってなんで私の相談を聞いてくれるのか聞いた。


「なんでだとおもう?」


「わかんないから聞いてるじゃん笑」


「えーひみつ」


こういう結果になるとわかっていたけど残念だった。


「もうさ、迷惑になると思うから相談乗ってもらうのいいや」


「めいわくなんておもってないよー?」


「でもずっと聞いてもらうわけにもいかないからさ」


「なんかあったら蓮にいってねっていったじゃん」


「そっか」


「てかさ!彼氏がおんなのこと親しくしてるなら、ようかもべつの男つくっちゃえばいいじゃん!」


いやいや嘘だろこいつ、と思いながらもいい案だと矛盾した感情を抱えた。


「いいじゃん!蓮おうえんするよ!」


この軽く甘えたような口調、優しいのに少し冷たいようななんとも言えない態度。少しずつ気になってしまっていた。


そんなある日、

「蓮って陽香のこと好きらしいよ」


「嘘でしょ?笑」


「いや本当に、真剣に悩んでるんだよ」


この言葉を友達から聞いた瞬間、私は彼氏のことなんか忘れて蓮のことでいっぱいになってしまった。その日も相談を言い訳に2人っきりで話した。


「私さ、彼氏じゃない人好きになっちゃったんだよね。」


「おっ!蓮のアドバイスどおりにしたんだね、えらいえらい」


「で、だれ?」


「さーだれだろうね?」


「蓮はさ、ようかのことすきだよ」


あぁ、この男全部わかってるんだな。そう思いながらもこの気持ちを抑えることはできなかった。


「ねえ、初めて?」


「え?」


何のことかを聞き返す間もなくキスをされた。


「ちょっと、ダメだよ、」


「嫌だった?」


嫌なわけない、むしろ嬉しいってことをわかっていながら聞いてくるんだ、


「ダメだよ、本当に蓮のこと好きになっちゃうじゃん」


そういうと私を強く抱きしめて


「好きになればいいじゃん」


と言った。私はその日から彼氏がいるのに蓮とも恋人になった。ダメだとわかっていても止めれなかった。普通の恋愛よりもスリルがある恋愛だったためすごく燃えた。


しばらくして彼氏に隠してることが罪悪感になり打ち明け、別れた。そして蓮とちゃんとした恋人になれた。蓮とは毎日一緒に帰った。


早く学校が終わった日は公園に寄って色々な話をした。公園に誰もいない時は少しエッチな触れ合いもした。


「ねえようかってさエッチしたことある?」


私は顔を真っ赤にして何言ってるの⁉︎と言ったが、何かを期待したのか首を横に振った。


「じゃあ初めては蓮ね」


そう言われてとても嬉しくなった。

夏休みになり、蓮の家に行った。親はいなかった。

そして蓮の部屋に入ったと思ったらすぐベッドに連れて行かれた。


優しいキスを何回もされ、お互い裸になった。

すごく幸せで何もかもどうでも良くなった。

そして蓮と一つになった。


初めてをしてからは蓮と何度もやるようになった。

放課後の教室でもやった。


私は幸せだからどうでもよかった。


そんなある日彼が素っ気なくなった。直接話してくれなくなったのだ。どうしてかわからないし、LINEは返事してくれるのに、なんで、?辛くて辛くて苦しくて、聞きたいけど蓮に嫌われるのが怖くて聞けなかった。そして原因不明のまま、


「価値観が合わないと思うから別れよう」


そう言われた。ショックで耐えられなかった。


それからは彼のSNSを頻繁に見て、スクショしたりと、いわゆるネトストになっていた。


しばらく経って少しずつ蓮からは離れることができてきた。離れることができたといっても、蓮の行動は常に気になってしまう。蓮が仲良く話している女のことが気になったりはしていた。


そして高校を卒業して蓮とは完全に離れた。


そんなある日蓮からDMが来た。


「久しぶり!元気?よかったら会いたいな」


私は嬉しくて嬉しくてすぐに会おうと返事をし、会うことになった。


久しぶりあった蓮は相変わらずカッコよくて魅力的だった。そして私にやたらと酒を勧めてきた。蓮がいうことだからいいかと思いたくさん飲んでしまった。そしてそこからの記憶はない。


そして目が覚めたらホテルのベッドの上だった。

全然理解できなくて横を見たら蓮がいた。裸だった。驚いて起き上がると私も裸だった。すぐに察した。


どうしようかと思ってる時に蓮が起きた。


「ようか、おはよう」


そう言いまた私が下になるように覆い被さってきた、そしてもう一度やった。


クタクタになってる私に構わず、蓮はタバコを吸い、


「ごめん、バイト遅れそうだから行くわ、また連絡するね」


と言いキスをして出て行った。普通に考えてヤリモクだが、その時私は気付けず、蓮が私のところに戻ってきてくれたと思った。


その後もデートは必ずホテルで。それも何回も。何十回も。避妊もしてなかった。でも蓮に嫌われるのが怖くて何も言えなかった。


そして私は蓮の子供を妊娠した。どうしたらいいかわかんなくなり蓮を呼んで話した。蓮なら結婚しようとかいってくれると思った。


「産むとかなしね、今そういうの無理だから」


そう言われた。なんで?ねえなんでよ!声には出せなかった。


「じゃ」


と言い蓮はどっかに行った。私はパニックになり蓮を追いかけた。見つけられないけど必死に追いかけた。そしてある日蓮にそっくりな綾という源氏名の人がホストで働いてるのを見つけた。


とりあえずそのホストに入った。蓮がいた。蓮だ。嬉しくて駆け寄ろうと思ったら、隣に女がいた。


「誰なの?」


もうおかしくなった。


「私は蓮の子供妊娠してるの!蓮と結婚するの!」


蓮は驚いてこっちを見た。周りの店員も驚いて私を抑えようとしてきた。だが私は制御できずそこにあったシャンパンの瓶をもち腕を高く振り上げた。


ゴンッという鈍い音と共に男が倒れた。

私を抑えようと来た店員の頭に当たったのだ。

もうおかしくってどうも思わなかった。そして蓮のところに行った。


「ねえ蓮、お腹の子男の子なんだって!蓮に似てイケメンかな?それとも私に似て可愛い感じかな?」


蓮は嫌そうな顔をして何も言わない。


「ねえなんかいってよ!」


「…やめろよお前おかしいんじゃないの?」


「え?私がおかしいの?」


みんなが私を見てる


「ねえなんなのよ笑」

「みんななんでそんなに見てるの!」


遠くからサイレンの音が聞こえた。


「ねえ蓮結婚して一緒に暮らそ?」


蓮は声を荒げて


「お前やめろよ!てかなんでここ知ってんだよ来んなよ!」


と言った。


「え?なんでよ?私たち愛し合ってるじゃん?」


「俺お前のこと好きじゃねえから」


「じゃあもういいよ、蓮死んでも一緒にいようね」


私はバッグの中からナイフを出して蓮の心臓を目掛けて刺した。


警察が来た。さっき店員を瓶で殴った時に呼ばれたのだろう。ダメだ邪魔なんか絶対させない。


「私蓮の心臓ネックレスにして持ち歩くの!そうすれば蓮とずっと一緒にいれる!」


そして思いっきり蓮の胸を裂いた。

その時警察に押さえつけられた。


「ねえ、離して、ねえやめて邪魔しないで!」


警察は無理矢理私からナイフを取り上げ、現行犯逮捕した。


蓮はかなり重症だったが一命は取り留めた。私は殺人未遂で懲役6年が課された。そして刑務所で出産をした。蓮にそっくりな男の子だ。可愛い、本当蓮そのまんま。大きくなったら蓮みたいになるのかな、。


息子とは引き離されたがここを出れたら息子と暮らせる予定だ。


今は素直に息子が愛おしい。

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ベラドンナ 美琴 @azu___5

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