夕方 クリス

「ヤッホー。クリス♪」

「...今日は厄日だ。」


 クリスは三百歳の小学生がきた瞬間、丸眼鏡からサングラスに替えた。


「あ、おねぇちゃん。こんにちは。」

 

 見た目だけで見たら小学校中学年が低学年に対して言うという矛盾が発生しているがこれで合っている。


「こんにちは。お嬢ちゃん、ちょっとお父さんとお話があるからあっち行っててくれないかな。」

「ヤダ。」


 お餅のように頬を膨らませて拒否したが、


「お嬢ちゃん。もしあっち行ってくれたらお菓子あげるよ。」

「うん!!」


 お菓子を素早く取ると、走って階段を登って住居スペースに戻っていった。


「それでだ。何のようだ。」

「弟子君がここにいるだろうと思ってさ。」

「いない。」


 クリスの返事を受け、彼女は艶っぽい女性の姿に変化し、クリスのサングラスをゆっくりと外すともう一度尋ねた。


「あの子に誓って?」

「ああ。」


 その答えに彼女は満足してサングラスをクリスにかけると低学年の姿に戻っていた。


「いきなり呪いをかけるな。」

「クリスだって、いきなり拘束と封印と反射のサングラスかけたじゃないの。」

「お前が言えた台詞じゃねぇな。」


 クリスはボソッと呟いた。


「いやー。弟子君を拉致ろうとしたら逃げちゃってさ。とりあえず私がいかにも攫いましたってやってきたんだけど。」

「お前はあいつを探し出してどうするんだ。」

「決まってるじゃない。泥棒猫を殺す。」

「そうか。出禁だ。」

 

 クリスの言葉と同時に彼女は魔道具屋から吹っ飛ばされた。


「パパー。終わった?」

「ああ、終わったよ...そうだパパ疲れたから今日は外で食べようか。」

「じゃあ、鰻食べたい!」

「そうだな。たまには奮発しないとな。」


 魔道具屋に残されたのは親子の姿だった。

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