別れ

宇佐見 恒木

過去


    「魔法使いにならないかい?」


 日光が反射してキラキラと輝く長い黒髪。

 テレビの人よりも美しい人。

 絵本から出てきたような現実離れした服。


 そして俺に襲いかかっていた魔物の上に立つ凛とした立ち姿。


 幼稚園児の俺にとってはその人こそ本物の魔法使いだった。


 だから俺は言ってしまった。


「うん。なる!」

「そうか...私の名は、」

 

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