第40話 秘密兵器・恐怖のヘッドギア!
「これをかぶると、わずか1時間で膨大な知識をインプットできるの。例えば、軍事に武器の製造でしょ、それから医学、法律、国際ビジネス、トレンドの美容法、外国語などなど、18項目の分野に精通できる」
それを聞いて麗華がヘッドギアに手を伸ばす。
「すごいわね……!呂布に使わせたら、宝の持ち腐れになりそうだわ……」
「おい!それはどういう意味だ!」
「もう喧嘩しないで~!話はまだ終わってない」
アイクが2人をたしなめる。
「それに、誰もがこの電磁波に耐えられるわけじゃないのよね」
ジェイソンは死を覚悟した兵士のような顔で、一歩前に進み出た。
「私がその役目を引き受けます!」
「残念だけど、ジェイソンには武術の心得がないでしょ。あの敵に立ち向かうには、知識だけじゃダメなのよ。文武両道でないと」
アイクの言葉を聞いた呂布が、すぐに立ち上がった。
「やはり俺か。少し『文』は
「うふふ~!さすが、われらが戦神ね。さあ、ここに座って」
アイクが微笑み、呂布を手招きする。
呂布はソファにどっかりと脚を開いて座ると、麗華が慌ててその脚を閉じさせる。アイクがおごそかな手つきで呂布にヘッドギアをかぶせた。指で軽くボタンを押すと、ピピっという音が響きだし、呂布の全身が細かく震え始めた。ヘッドギアの液晶画面には、「文字のインプット開始」と表示されている。
「これはいったいどういった仕組みなの?」
「これは磁気の共鳴を発生させて脳波に影響を与える装置なの。1時間で18項目もの専門知識を習得できるけど、脳の構造によって習得の深さは個人差があるわ。普通はだいだい20パーセントくらいかしら」
「呂布は何パーセントくらいかしら?」
麗華は好奇心が抑えきれない様子で質問した。
「彼は戦神だもの。普段は天然すぎて手におえないけど、もちろん100パーセントよ」
「そんなに?普通だと20パーセントなのに?」
麗華は驚きを隠せない。アイクは「電磁波の出力をあげちゃおうかな」と言って不敵な笑みを浮かべた。
「あげるって、どれくらい?」
麗華が興味本位でたずねると、アイクは優雅に指先をボタンに当てた。
「マックスよ!」
それからまもなく、ヘッドギアからジジジジという音が聞こえ、赤と青に光り始めた。呂布の身体がさらに激しく震え、その速度は肉眼で確認できるレベルを超ええている。全員が驚きのまなざしで呂布と、涼しい顔をしたアイクを見比べている。実際、アイクはまったく心配していなかった。
「安心して。このスーパー・スマートヘッドギアは、使用者が最大限に知識をインプットすると自動的に減速して停止するしくみなのよ」
皆がほっと胸をなでおろした直後、液晶画面に「知識はマックスです」と表示された。
「上出来ね」
アイクが満足そうに、液晶画面の表示を見る。そこには「マックスを超過しました」と表示されており、さすがのアイクも驚いた。さらに「警告! 使用者の許容範囲を測定できません!」という文字が浮かびあがり、ついにヘッドギアが煙を噴いた。
「早くとめて! どれが停止ボタンなの?」
麗華が焦って叫んだ。
「自動停止する仕組みだから、停止ボタンはないの……」
アイクがそう言っているそばから、あらたな警告が表示される。
「警告! 警告! インプットの最大値を超えています!」
次の瞬間、ヘッドギアからパンパンと火花があがった。
「まさか!?」
ジェイソンとレッドが口をそろえる。
「爆発よ!」
アイクが頭を抱えて飛びのく。麗華もとっさに呂布から距離をとる。それを見たジェイソンも、身を隠した。唯一、心配そうに呂布を見つめていたレッドは、何の迷いもなくヘッドギアを抱え込んだ。
「ご主人様、俺がついてます!」
パーーンッ!
高い音が響き渡り、部屋中に煙が充満した。
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