第31話 刺激的なキス!
1時間後、ラボの入口が開いた。
アイクが汗をふきながら書斎から出てくると、呂布とジェイソンが仁王立ちになって行く手をふさいでいた。驚いたアイクは、声をあげる。
「やだ、びっくりさせないでよ。麗ちゃんなら大丈夫よ。カプセルに入っていれば、傷口は3日でふさがるはずだから」
「俺が看病する/私が看病を」
呂布とジェイソンが口をそろえた。
「意識が戻ればカプセルから通知がくるの。そばにいてもやることないわよ」
優雅に右手を振るアイクの動きがとまった。
「そういえば、レッドはどうしたの?」
「あの部屋で休ませているから、様子を見てくる」
呂布がレッドのいる部屋へと入っていく。部屋の隅にあるベッドの上では、額に大粒の汗をかいたレッドがうなされている。
「赤兎、気分はどうだ?」
「ご主人様…。その懐かしいお顔を、もっと近くで見せてください」
呂布がレッドに顔を近づけると、レッドは呂布の首に両手を回し、思い切り口づけをした。
「ああ…ご主人様」
呂布は一瞬硬直したものの、すぐに優しい眼差しでレッドの頭を撫でた。ウェーブのかかった柔らかい赤髪が、呂布の鼻先をくすぐる。
「人間の姿になっても、俺とじゃれるのが大好きなやつだな」
「はい。ずっとこうしてご主人様の腕に抱かれていたいです——」
その時、治療道具を持ったアイクがジェイソンと一緒に部屋へと入ってきた。アイクは呆れた様子で、呂布とレッドを見ている。
「あんたたち、よくもまぁ、私の部屋でイチャイチャしてるわねぇ…」
その時、ジェイソンの腕時計が震え、宗信からの着信を知らせる画面が表示された。ジェイソンは、皆にバレないように震える時計を押さえながら、足早に部屋を出た。
◇
ラボの空気が張りつめている。麗華が横たわる透明な医療カプセルのそばに立つアイクが、制御パネルをじっと見つめる。呂布も心配そうに麗華を見守っている。
〈危険を脱しました。数値は正常です〉
AIの音声とともに、パネル上のランプもすべて正常を示すグリーンに変わった。
「今の話は本当か?」
呂布は、にわかには信じられないという顔でアイクに確認する。
「アタシの腕を疑うっていうの?」
アイクは不服そうに呂布をいちべつし、忙しそうに手を動かしパネルを操作する。
「見たことないでしょうけど、これは最先端の医療技術なんだから」
パネル上には、3Dの人体モデルと解析データが表示されている。言われて呂布もパネルをのぞき込む。
「最先端だかなんだか知らんが、それが役に立つとは思えん。第一、まったく目覚める気配がないではないか」
呂布はため息をつき「やぶ医者め」と首を振った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます