彼からの連絡
「山上さん。連絡先交換しましょ。この前のお返しがしたくて。」
プレゼントをしてから1週間くらい経っただろうか。彼が突然話しかけてきた。連絡先を交換し、仕事終わりにご飯に行くことになった。普段はマスクをつけて仕事をしているため、私は彼の顔を知らないし、彼も私の顔を知らない。今思えば、顔を知らずにご飯行くとはかなり思い切った決断をしたと思う。
「山上さん、誕生日いつですか?」
「山上さん、どうしてここで働こうと思ったんですか?」
「山上さん、嫌だったら答えなくていいんですけど、何歳なんですか?」
「山上さん、山上さん、」
かなり質問された。コミュ障だと思っていた彼の勢いに圧倒された。まるで私がコミュ障みたいな返事しかできなかった。帰り際、この前のお返しでバターサンドをもらった。しかもレーズン入りの。「なんで私の好きな食べ物知ってるの?」聞けば、私が他の人と話していたのを聞いていたらしい。今日で彼のイメージが変わった。コミュ障ではない。人のことに興味ないと思っていたが、かなり人のことを気にしながら働いている。彼に喋らせたい。その思いが、彼の本当の姿を知りたいに変わった。
「山上さんって、テレビ見るんですか?」
「山上さんって、休みの日何してるんですか?」
ご飯に行ってから、閉店後に彼から話しかけてくることが増えた。相変わらず営業中は業務連絡以外の会話はない。とことんまじめだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます