会話

「ねえ、天久くん。誕生日いつ?」

さすがに突然過ぎたか。彼はとても驚いている。「6月4日です・けど、、なんで急に?山上さんはいつですか?」「内緒!」はじめて会話が成立した。いや、成立はしていないか。私は質問がかえってきて驚きのあまり変な答えをしてしまった。

 時はながれ年末を迎えた。年末年始の営業はかなり繁盛する。新人の私には分からないことが多くあり、自分の仕事を終わらせるので精一杯だった。でも隣にいる彼は、すずしい顔をしてレジ対応している。彼のレジだけ異常に回転率が高い。慣れていない私は、彼のサポートももらいながらなんとか営業を終えることができた。「ありがとうね。」閉店後、彼に感謝を伝えると、「え、何にですか?僕は何もしてないですよ。でも、山上さんすごいですよね。入ってすぐなのに、すごいスピードでお客さんの対応をして、レジの回転率も高くて。」これが彼の魅力で、慕われる理由なのだろう。自分のしている仕事は当たり前のようにこなし、仲間の働きぶりを見て、ほめてくれる。加えて、ほめ方がとてもうまい。相変わらず仕事以外の会話はないけれど、、。

 年始以降、彼は週に2・3回働きに来ていた。いつからか、彼が働きに来るのを楽しみに待つようになっていた。

 2月のある日、「天久くん。次いつ来る?」「16日ですかね。」この会話で彼が働きに来る日を聞き出すことができた。私の職場は特殊で、店長から直接シフトの連絡がくる。だからグループラインもないし、誰が、いつ働きにくるか分からない。

 16日の閉店後、彼にいつもお世話になっているお礼として、ちょっとしたプレゼントをあげた。

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