廃病院

@leftright

第1話:病室

午前2時。目覚めると廃病院の一室にいた。

上体を起こすと、古びたベッドが軋む音が響く。辺りは月明かりで青白く照らされていた。不気味だ。


僕はアルバイトから帰っていた筈だ。それ以降の記憶がない。どういう経緯で僕はこんなところにいるのだろうか?誰かが連れ去った?


見上げると、向かいの壁にテレビがはめ込まれている。真っ黒だった画面が急に切り替わり、砂嵐を映し出した。10秒ほどした後、男か女か判別つかない、機械で加工された声が流れる。

「やあ、お目覚めの具合は如何かな?」

決して良くは無いですね。やはり何者かの悪趣味な悪戯だろうか。被害額を請求したい。

「この廃病院には4人の幽霊がいるよ♪一人は、手術室でバースデーソングを歌ってる。一人は、あなたを出口まで案内してくれる。一人は、あなたに無関心。一人は、●●●●●●●●●(ズズ‥‥‥‥ズズズズ‥‥‥‥‥‥‥‥)。さあ、幽霊たちに出会いながら、この病院から脱出しよう!!あ、エレベーターは故障してて使えないから、階段を使ってね。」

プツリ、と画面が真っ黒に戻る。


着ていた上着のポケットからスマホを取り出し、ライトを付ける。さっきの声の主のよくわからない説明に些か腹が立つが、僕は部屋を出た。

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