計算

@szKashiwazaki

1

 二人の少女が、窓の外を見ている。外では、強い雨風が吹いている。

 雷が光り、少ししてから、空をつんざく音が鳴った。

「きゃっ、怖い!」

 小夜子がほのかに抱きついた。

 ほのかは部屋の時計に目をやると、

「9秒だったね。3キロぐらいか」

 と言った。小夜子は首をかしげる。

「何のこと?」

「雷が光ってから音が鳴るまでの時間に、340をかけると、雷が落ちた場所までの距離になるのよ。光と音では進む速さが違うから、そうなるの。今回の場合は9かける340で3060メートル。つまり、だいたい3キロメートルね」

「へー。明日やってみよ」

「? 明日は晴れの予報だけど……?」


 翌日のこと。

 小夜子のお腹が鳴った。

 小夜子は部屋の時計に目をやると、

「3時間だったね。1000キロぐらいか」

 と言った。ほのかは首をかしげる。

「何のこと?」

「昼ご飯を食べてからお腹が鳴るまでの時間に、340をかけると、摂取カロリーになるのよ!」

「ならないと思う……」

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