暇なので秘密にしていたことを言っちゃいます。

卯野ましろ

暇なので秘密にしていたことを言っちゃいます。

 仲良しの女子高生二人組は今、電車待ちである。


「……暇だなぁ」

「じゃあ電車が来るまでに、私が今まで言いたかったけど言っていなかったことを言っていくね」

「急にどうした」

「チーズのみのピザにソースとマヨネーズと鰹節をかけて食べるとおいしい。ピザじゃなくてスライスチーズが乗った食パンも良し」

「あっ、それ良いね!」


 この調子で、彼女たちの会話はどんどん進んだ。


「餃子の皮が余ったら、あんことクリームチーズを入れて焼いてみて」

「うわー、それもおいしそう!」

「餃子の皮でアップルパイも素晴らしい。詳しいレシピは検索してね」

「うんうん!」

「ブラックのホットコーヒーはダイエットに最適。食後とか運動前とか入浴前に飲むと効果があるらしい」

「すごーい! よく知っているね! もっと聞かせて!」

「好きだなぁ。もうライクというよりラブだね」

「そりゃそうだよ楽しいもん! ほら早く早く!」

「うん。実はポテチは……のり塩よりも、うすしおの方がカロリー高め」

「えー! 何か意外かも!」

「さっきコーヒーの話が出たけど、そのコーヒーはヨーグルトと相性が良くて、ヨーグルトコーヒーというものがあるらしい」

「へー、気になる!」

「あとこれまでの会話の中で、私はあなたへの気持ちをはっきりさせています」

「うんうん……ん?」

「あ、私が乗るの来た!」

「ええっ?」

「じゃあ、また明日ね!」

「ちょ、ちょっと……」


 焦る女子に構わず、もう一人の女子は乗車しようとしている。


「ねぇ! 最後の、どういうこと?」

「それは……秘密です。自分で考えてくださいっ! もう私は言わないよー♪」


 戸惑う女子を残して、ちょっぴり赤い笑顔の女子は電車に乗ってしまった。しかし答えが分かるまで、そんなに時間はかからなかった模様。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

暇なので秘密にしていたことを言っちゃいます。 卯野ましろ @unm46

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ