天然系女子高生と賢者の鍵

京極 道真  

第1話 賢者の鍵・拾った天然系

今日も朝から電車。入学3日目。高校受験はしたものの希望高校は全滅。あえなく電車通の30分。私立に通うことになった。街中にあるこの高校、私立の中のザ・私立。特に特徴もなく。一部の特待生枠。スポーツ枠。それに私と同じ受験落ち組から構成されている。

入学式に校長先生は「これからです。これからがスタートです。君たちの未来は明るい。」と力説。正直受験落ち直後の入学生の頭にも心にも響かない。

まあ、しょうがないか。ただ、入学式の保護者席の圧だけは感じた。親ばかな圧がじわじわ。背中に強く感じる。3年後は大学受験がんばります。みたいな感じで。「ふーっ。」私はため息をついた。左の横の横のずーっと横に私と同じく、「ふーっ。」とため息をついている男子一人。チラリ目が合った。そのとたん、あろうことか、奴は目を首ごと反らした。「バカヤロウ。」思った瞬間、口に出していた。まわりの生徒は引いた。昔からそうだ。思ったことは口に出てしまうし、行動は極端。みんなからは”天然ちゃんね”って思われていた。しかし。実際のとこと私は天然ではない。正常な高校1年女子だ。それにしてもさっきの男子には腹がたつ。首ごと目をそらすのは失礼だ。入学式「新入生はクラスごとに席を立って教室へ戻ってください。では、特待生クラス1年1組」ガタン。生徒が退場する。

「特待生か。くそー」今度は小声で。

後ろの子が肩をトントン「声、漏れてるよ。」

「えっー!ごめん。つい口に出ちゃって。」

「いいのよ。天然ぽくって面白いわね。

私、桐生アヤカ。ヨロシク。アヤカでいいわよ。」

「私、砂田ミキ。ヤラシク。あっ、かんだ。

ヨ・ロ・シ・ク。」

「ミキ、ほんと面白い。」

私達はのクラスが呼ばれる。

「普通クラス1年4組」

私達は体育館から退場。アヤカが「普通クラス。普通を強調しなくてもいいと思わない?」

「だよねー。」私はぶーっと頬を膨らませる。

「ミキ、やめなさい。小学生じゃないんだから。こらこら。天然ちゃん。

そういえば、さっきミキ、源三のこと見てなかった?」

「源三?あー、生意気な左端、特待生クラスのアイツね。さっきね、何気に見たら首ごと目をそらされて。ほんとアイツを見たわけじゃなくなくて偶然。偶然なのに。あー、思い出したら悔しい。」

「ミキ、アイツ、源三とは中学が同じで。学年トップの天才だったのよ。大学は、

東大間違いなしの実力。でもよくある話でK高受験の時に風邪ひいたみたいで。先生は肺炎で即入院っていってて。まあ。ついてなかったみたい。それに源三とは家が近所だから小さい頃からよく知っててね。」

「そうなんだ。アヤカからそう聞いても、でも、あの態度は許せない。」

「そう、あと付け加えるとかなりのイケメンで。女子嫌い。正しくは女子と話すのが苦手みたい。3人男子の三男。男子、男子だからね。女子は面倒だって。」

「そうなの?でもそんなにイケメンには見えなかったけど?まあ、遠かったしね。それに興味無いし。でも、アヤカとは話すんだ。あやしいな~。」

「ミキ何言っているの?私、彼氏いるよ。」

「え~!彼氏?」

「源三の上の兄貴、源二。K高2年。」

「え~!アヤカ、すごい。私なんか、彼氏できたことないし。天然ちゃんって遠巻きだよ~。」

「よしよし。可哀そうに。ついでだけど源三の上の兄貴が彼氏の源二。一番上は東大1年の源一。彼らの兄弟はみんな頭がいい。そしてイケメンだ!特に彼氏の源二は最高よ。」

「へえー、そうなんだ。」「こら、ミキ、聞いてないでしょう。」「ごめん。ごめん。」

私達は、話しながら1年1組のクラスまで列になり退場して来た。4組は一番奥の教室だ。

もうすぐ。私は無意識に1組の中を見る。廊下側のドアが開いていた。

アイツ、源三と目が合った。また思いっきり首から向きを変えられる。

「くやしーい。」「どうした?ミキ?」

「アイツが源三がいて。また、思いっきり避けられた。」

アヤカが列から離れ、私を引っ張っぱる。1組のドアへにゅっと顔を出す。

「源三、アヤカだぞ。こっちはミキだ。ヨロシク。」

「こらー。そこの女子何をしている。さっさと教室に戻りなさい!」

「はーい。」

アヤカと私は走って4組の列に戻った。

「面白かったね。」「そうだね。」こうして入学式は終わり。楽しい学生生活がはじまる予感。下校の時間だ。

アヤカは家が近くで、電車通学ではない。校門で別れた。「バイバイ。」

私はこれから家まで電車で30分「あ~あ。」ため息をつきながら人込みの中、駅へ歩く。駅、目の前の横断歩道赤信号。足元”キラリ”金属片が落ちている。”鍵?”形状が鍵にしては少し違う。キラリの光に惹かれて”つい、拾ってしまった。金属片は3cmほどの長さに中心に丸い穴が2つ。何これ?手の平にのせた鍵が光りだす。

「きれい!」思わず声を出す。信号待ちの見知らぬ人たちが私に注目。またやってしまった。信号が青にかわる。私は”その鍵”を思わずポケットに入れてしまった。

電車に飛び乗り、つり革にもたれた。ポケットに手を入れて、鍵を触った。ある。どうしよう。拾ってしまった。誰かの落とし物?

もしかして私、”泥棒さん?”首を左右に揺りない。ない。私は泥棒ではない。

拾ったのはゴミ。そう。ゴミよ。そう、言いきかせて、家に戻る。

「ただいまー。」

「ご飯、できてるわよ。」お母さんの声。妹は部活で遅いみたい。

いつも通りの夕食をすませて私は部屋に。ベットでゴロン。携帯いじりながら、拾った鍵のことを思い出した。制服のポケットから取り出し見る。カギはピカピカ光っている。金?銀?今まで見たことない金属の輝き。少し透けているところもある。これは石?ダイヤ?

そうだアヤカに拾った鍵のこと相談してみようっと。

私は携帯でメールを途中まで打って手が止まった。私、泥棒さんではないよね。

そう、これはそう、明日交番に届けよう。そうしよう。アヤカには明日、話そう。

そうして”鍵”を握ったまま眠気が・・・

白いモクモク雲が・・・

長いマントを着た賢者が立っている。

「賢者?ここは?」






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