秘密の妖精
田村隆
第1話
僕の家には、妖精がいる。
このように言うと、こいつ危ない奴だと思われるかもしれない。
しかし、事実だからしょうがない。
だから、ここからは僕の妖精さんについて話を進めていこうと思う。
まず、僕は小説家だ文章を書くことを生業としている。
だから、文章を書くことはそれほど苦にはしていないと言えばそうではない。時には急に書けなくなる時があるのだ。
そのような時最悪で、文章とは言わず文字さえ思い浮かばずパソコンのディスプレイの前で紋々と何時間と座り込むのだ。
しかし、そんな時私にはこの時間を脱却する良い方法があるのだ。
それは、パソコンのスイッチをONにしたまま眠りにつくのだ。
何それと思う人、少ししごとからはなれるのかと考える人がいるかもしれない。しかし、実際は違う。眠っている間に妖精さんが仕事をしてくれるのだ。
本当に、原稿を放り出して眠ると、あら不思議?次の日には原稿が出来ているのだ。
「そんな夢みたいなことが起きる理由がないだろう?」と言う人もいるかもしれないが、本当にこのようなことが起きていて、この方法で対して苦労もなく生計をたてているので文句を言わないでもらいたい。
こんな夢のような生活をしていたら、何も不平不満がないように思われるがそうとも言えないのである。
なぜなら、その妖精は僕の小説を書いてくれるだけではなく容赦なく添削採点もしてくるからだ。
もちろん、僕が小説を書いている時に妖精が来て小説を添削採点していくというオカルトじみたことが起こる訳ではない。
僕が、小説を書き終わって眠ってしまった後におこるのだ。
だから、僕は為すすべもないのである。
しかも、妖精は僕が丹精込めて書いた小説をけんもほろろに添削採点していくのだからたまったものではない。
面白くないというのは日常茶飯事で一番ひどい時は、プリントアウトしたうえに赤ペンで×と書かれたことがあったのだ。
だが、だからと言って妖精を嫌っている理由ではない。なぜなら、妖精の指摘は的確で・・・・・・・・・・・・・・
「何、僕の小説に加筆しているの?しかも、妖精って何?」
僕は、パソコンで僕の原稿に何か書いている彼女に向かって言った。
「だって、私のこと書いていると聞いてちょっとね・・・へへへ」
と彼女は長い足を組みながら向きを変えながら言った
「しかも、僕の書いたところがほとんど消去されているじゃないか・・・」
「だって、君の小説堅苦しくて面白くないだもの。だから、妖精さんがちょっと面白く変えようと思ったのですよ。」
悪びれる理由でもなく言う彼女を見ながら僕は盛大にため息をついた。
秘密の妖精 田村隆 @farm-taka
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