【カクヨムコン9】君は、ともだち。

豆ははこ

第1話 きみは、ともだち。

「きみ、すごいね。ともだちになろう?」

 何を言ってんだ、こいつ。

 それが、あいつの第一印象。


 ジャングルジム早のぼり競争。


 幼稚園の時の俺は、万年チャンピオンだった。


 それが、「明日から皆と一緒にここに通うお友達です」と園長先生が言っていた、背の高い、なんだかやたらにきらきらした王子様みたいなやつ、あいつ、に、負けてしまったのだ。


 あっさりと。


「いやだ。おまえは……らいばるだ!」


 ライバル。そう、好敵手。年長組にも、あんな奴はいなかった。長い手、そして、足。 

 当時はそこまでは分からなかったけど、登り方まで洗練されていた。


「らいばる?」


「ああ、そうだ。あしたからここにくるんだろ? まいにち、たたかえ! あ、あめのひはいいぞ。あと、たいちょうのわるいひもだめだ!」


「……きみ、やさしいね。やっぱり、ともだちになってよ」


「だめだ、らいばる!」


「ごうじょうだね。じゃあ、ともだちで、らいばるね」 

「それなら、いいか」


 ……そう、俺達は、ともだち。今も、昔も。


 それなのに。

 周りは何で、それが分からないのだろう。


 分かってくれるのは、ライバルのあいつと、俺の、もう一人の幼なじみだけ。


 そう。俺達は、ともだち。




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