第16話 レオはそんなんだから友達がいないんだよ?

投票の結果、怜が僅差で勝利したので怜のお願いで俺は今怜を膝枕している。


『もはやご褒美だろ』

『されたいししてみたい』

『俺はされる一択だな』


「俺には膝枕のどこがいいのか分からないけどな。特に男子の膝枕なんて太もも固いし需要ないでしょ?」


「私はこれでいいんだよ、まぁレオじゃなかったら絶対に嫌だけど。レオだって私やShinoちゃん以外にはこんなことやりたくないでしょ?」


「やりたくないというか、レイとShino以外にやる相手がいないからな? 俺の友達がレイとShinoしか居ないことを知ってて言ってるだろお前」


まぁ他の知らない女子に同じようなことをできるかと聞かれたら俺は迷わず無理だと答えるだろう。どっちにしろ怜と詩乃以外の相手ができることは無いだろう。

 ︎︎俺は幼馴染である怜と俺の友達になってくれた詩乃だからこそ迷いなくこういうことをできるんだろうな。


『イケメンでも友達は少ない模様』

『レイにShinoが友達なんだから十分だろ。今のレオは両手に花状態だ、誇れ!』


「俺はレイとShinoっていう有名人の二人を見てるんじゃないからさ。ただ一人の女の子と友達なだけ、誇ることじゃない」


その人が有名だから関わるなんていう人間にはなりたくない。そういう風に思われるくらいなら俺は怜や詩乃と関わるのをやめる、その時に怜や詩乃になんと言われようと関係ない。

 ︎︎周りからそう思われるってことは俺はその程度の人間だったってことだ。


「レオは私もレイちゃんも、一人の女性として見てるってこと?」


「そうだな、どこにでもいる……とは言わないけど普通の女性として見てる。二人のことを有名人としては見ないかな」


そもそも、二人とも俺が関わり始めたのは二人が有名人だなんて知らなかった頃の話だ。俺は二人が有名人だってことを知った後と知る前で関わり方を変えた覚えは無いし、今後も変える気は無い。


「でもレオもこれからは私たちと同じように有名人になっていくんだよ? 最近はレオのチャンネル配信してないけど、私のには出てるからレオの方もチャンネル登録者は増えてるんだからね?」


確かに初配信の日から比べたら圧倒的に増えていたが、正直チャンネル登録者数なんて気にしていなかった。ただ自分が楽しく、視聴者が楽しめるような配信をしようと思っているだけだ。

 ︎︎もちろんある一定のチャンネル登録者数を目指して頑張る人もいるだろうけど、俺はただ楽しく楽しませるために頑張っている。


『もうすぐ十万だろ?』

『まだ初配信しかないからな』

『レオさん! 次の配信はいつすか!』


「次はこのお泊まり会が終わってすぐだな。この前特技はメイクって言っただろ? だから次の配信はメイクしようと思ってるぞ」


『よし、その配信を見て学ぶか』

『多分だが見たところですぐには出来ん』

『練習すればいいだるるぉ?』


「メイクを始めようって言うのなら他の人の動画を見た方がいいと思うけどな。別に止めはしないけど、どうやって練習するんだ? 自分?」


俺は正直メイクは誰かにしないと練習にならないと思ってるし、俺はずっと姉さん達にメイクをしてきたからこそ上手くなったのだ。人それぞれ似合うメイクは違うし同じ人で練習して、いつかその人にベストなメイクを見つけることが出来たらメイクが上手くなったと言えるのかもしれない。


『俺はやる相手いるぞ』

『裏切られたわ、もちろん居ない』

『そりゃあ自分に鏡でやるでしょうよ』


「レオは私にやるんだもんね? レオがメイクしてるのをさっき見たけど全然私より上手かった!」


「そうなんだ、学校で言ったら私たち以外にも友達出来そうなのに……言わないの?」


メイクができるって言うことはステータスになるのかもしれないけど、俺は誰かに誇って誰かをメイクできるほどの実力は無いし、こんな俺がメイクをしてるなんて正直気持ち悪いだろう? 誰もが俺がメイクできるなんて思わないはずだ。


そもそもメイクができる=友達ができるじゃないんだ。


「言う気は無いし、隠すつもりもない。特技を聞かれたらこの前と同じように答えるさ」


まぁそれで引かれたらその時だ、俺は男だからといってメイクができるってことを間違いだと思うどころか一つのステータスだと思ってる。メイク関係の仕事だって探せばあるんだから否定される筋合いはないだろう?


「言ったらいいのに、勿体ない……。レオはそんなんだから友達がいないんだよ?」


『うーんダイレクトアタック』

『容赦ないな……w』


「じゃあ聞くけど、もし俺が他の友達を作ってその新しい友達の所にばかり居てレイとの時間が減るとしたらどうする?」


「その新しい友達と私も仲良くなればいい、レオに新しい友達が出来ても私は唯一の幼馴染だから」


怜は俺の唯一の幼馴染。それは俺がどれだけ友達を作ろうと、誰かと付き合おうと変わることは無い事実だ。


「レイちゃんが幼馴染って言うのなら私はレオの一番最初の友達だよね?」


「まーそういう事になるか。そういえば最近は一人友達できたぞ?」


「あー、そういえば私が紹介したんだった。あの子、真面目でしょ?」


奏さんは生徒会副会長をやっていることからも分かるが何事にも真剣で真面目に取り組んでいる。全国模試は二位だしもちろん頭もいい、正直勉強を昔よりはしてない今の俺より全然頭いいと思う。


「レオ、次のテストはあの子のために本気出してあげてね? あの子はレオに負けて悔しがってたから、次は超えるって頑張ってるんだよ。それでレオが手を抜いたら意味ないからさ」


「ん、分かった。真面目にやる」


「あ! もうすぐレオの家の人が帰ってきちゃうから今日はここまで! みんなばいばいー」


『急に始まったし急に終わるのも仕方ないか』

『メイク楽しみにしてます』


配信をずっと見ていたのかは知らないけど、ちょうど配信を切ったタイミングで家のチャイムがなった。


この後色々聞かれるんだろうなと思う朝日と怜であった。

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