いつもあるなかで

@kusobun

第1話

真っ白な世界にいる少しのものが反射して物体の形がわかる。いつもいつもこの景色ばかり目につく。いつまでもここにあるといいなと思い、すぐに影に飲み込まれてわずかな光を残し、またそれも消えて暗闇になる。いつまでもいつまでもと唱えながら、街ゆく人たちは溶けていくその人は何色だっただろうか。もう今は形がわからない。少しの言葉が心に残る、その人がいた痕跡が身体に染み付いている。よく知らない人だった。いつもの人だった。私だった。いつもいつかわからない。不安定なこの景色で本当に私はいつもの景色を見れているのか。少しずつ解けて変わる。いつまで、いつまで続ければいいのだろう。私は幸せなのだろう?こころが溶けて全ての意思が疑いに変わる。私は私も信じられない。幸せなはずなのに、何もなくて何も起きなくて安心なはず、こころがわたしを感じていない。大丈夫。なにもない、何も感じなくていい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る