備忘録:記憶

秋雨

1 自己紹介:自己認識

 これまで何年も生きてきて未だにやりたいこともやるべきことも見つかっていない、そんな空しい人間。それがこの私、秋雨だ。何かを始めたいと思ってピアノを少し触ってみる。絵を描いてみる。作曲をしてみる。動画投稿をしてみる。どれもあまりうまくいかないまま、馬鹿の一つ覚えみたいに惰性で定期投稿だけを続けている。それもこの私、秋雨だ。「自分の生きる価値」が見出せない、「自分が生きる理由」がわからない、「自分だけの道」もない。ないない尽くしの人間、これもまた私、秋雨だ。

 ただ、こんな馬鹿の自分にもわかっていることが一つだけある。


「死にたくない」


「自分の生きる価値がないなら死んでも変わらない」そう思ったことがあった。何度も何度も自分なんか死んでしまえばいいと思った。自分で自分を傷付けようとしたこともあった。それでも、いざ自分を傷つけるとなると、どうしても手が震える。体が勝手に力を抜いてしまう。一時の衝動とはいえ、「死んでしまおう」とすら本気で思っていたのに。その時だったか、気付いた、気付いてしまった。自分がいま生きている、どうしても変えられないだろう大きな理由。


 ああ、どうしても私は、死んでしまうのが怖いらしい。


 「お前に生きる価値なんかない」「お前が死んでも世界は何も変わらない」その言葉は頭に沁みついて、きっと、いや、死ぬまで、私にまとわりついていることだろう。引き金を引いただけで苦しまずに死ねるようなものも手に入るようになるかもしれない。ただ、そうだとしても、たとえそうなったとしても、きっと私は死ぬことはないだろう。なぜなら私は、「死にたくない」という、自分の手にはあまりある呪いに目を付けられ、その身を侵されているのだから。

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