第15話 22話 背中の感触

22話 背中の感触


 剣を抜こうとした時に相手は両手を出してきて言った。




「待ってくれ。俺達は敵じゃない。剣をおさめてくれよ」




「……」




 5人のうちの1人が剣をおさめてと言うので、手を放した。


 敵じゃないようだ。


 ただの冒険者ということか?


 確認してみよう。




「ここで何をしてたの」




「休憩さ。1階の途中だけど2階まで行けなくて。進はまだ先に行く気かい」




「そのつもり。2階への階段は知ってるか?」




 俺の名前が進だと知ってるのはサーチしたからだろう。


 レベル6てこともわかってるな。


 シュナリもサーチしただろう。


 じゃあ俺もこの人をサーチしていいよね。




 ミート


 冒険者レベル11




 11か…。


 俺よりもかなり高い。


 年齢は俺と同じぐらい。


 もし俺達を狩るつもりなら、とっくに攻撃仕掛けてきてるだろう。 


 普通にいけば俺達は勝てないし。


 でも攻撃せずに話しかけてきたのは、敵対意思はないから。


 ひと安心だな。




「2階への階段はわからない。でもここまで探索してこの先にある可能性が高いよ。気を付けてな」




「気を付けます」




 5人とも普通に休憩中らしく、回復薬を飲んでる者もいる。


 ただ仲間に獣人はいない。


 俺とシュナリは彼らを通り過ぎて先に行こうとした。


 そこにミートの仲間が言ってきた。




「進……。堀進か」




「そうだけど」




「進といったら、確かムライ迷宮の攻略者だよな」




「俺が攻略しました。どうして俺の名を」




 もう知ってやがる。


 俺って有名人ですね。


 誰かにきいたのか?


 嘘より本当のことを言っておこう。




「迷宮屋に張り出してある。よく攻略したよな」




「まぁまぐれかな」




 ごまかしておいた。


 レベル4では難しかったようだな。


 普通に行ったら死んでました。


 バジリスクのおかげです。


 するとミートが言ってくる。




「キミがムライ迷宮の。俺はミート。進がいるのか。俺達も休んでられないな。盗賊団もいるから2人では危ないぞ」




「この中にもいるのか」




「迷宮内には必ずいる。特に黒死蝶には手を出さないことだ」




 もう出しちゃいました。


 他にもガイルの仲間がいる。


 知らないフリをしておこう。


 盗賊団に会ったら斬り合うのは避けられないだろう。


 相手のレベルにもよるが。


 ミート達はどうする気だ。


 金を出せと要求されたら。


 素直に出すのかきいてみたい。




「盗賊団に魔石や金品を出せと要求されたらどうする?」




「盗賊団とは戦うしかない。迷宮に入るのなら戦いは必死さ。これを見ろ」




 ミートは服を見せた。


 服?


 何だろうか。


 誰かから奪った?




「奪った服だったりして」




「俺達を襲ってきた盗賊団の物だ。もちろん殺した。黒死蝶ではないけど。他にも多くの盗賊団がいるから。ムライ迷宮には出会わなかったかな。ガイルとか」




「会わずに済んだみたいだ。もし出会ったら逃げるようにします」




 ガイルって有名人なのかい。


 みんな知ってるぞ。


 知らなかったのは俺だけ。


 話を聞くほど、嫌な展開になります。




「それが正解だよ。なにせ国王軍までターヤの町には来るそうだ。そしたら国王軍と黒死蝶で激しく殺り合うぜ」




 黒死蝶ときいてシュナリは怯えるように俺の後ろへ下がった。


 俺も会いたくないが、シュナリはもっと会いたくないだろう。


 名前も聞きたくない感じだし。


 この先に黒死蝶の奴らがいたら。


 シュナリは思い出してしまうかもしれない。


 最悪の過去を。


 国王軍ていうのは警察みたいなものと思っていいのだろう。


 盗賊団らを取り締まる役割の存在。


 黒死蝶を取り締まって退治してくれれば俺にとっても好都合です。


 そうなると、国王軍には協力的にしたら良さそうだ。




「ありがとう。教えてくれて」




「いいさ。盗賊団は敵なのだしな」




 ミートからいろいろと情報を仕入れた。


 この先にも盗賊団がうろついてると。


 敵がいようと、再びシュナリと奥に進む。


 進んでいくと分かれ道に差し掛かったので、どちらに進むか選ぶことに。


 どちらを選んでも同じように思えた。


 マップを見ても左右とも続きは有りそうだ。


 とすると、人の気配のない方が良い。


 ここは、シュナリの鼻に頼ろう。




「左右の分かれ道に人の臭いはあるか」




 クンクンと鼻を鳴らす。


 犬みたいで頭を撫でたくなってしまう。


 マズイな。


 触りたい。


 どうしよう…。


 今撫でたら変だろうな。


 そもそも撫でる理由を言えない。


 まだクンクンしてる。


 少しだけ触ってみよう。


 身をかがめて鼻を前に付き出している。


 前傾姿勢のシュナリ。


 その頭に俺は手を軽く乗せた。


 柔らかいな。


 フサフサしてる。


 毛があるから当たり前だが。


 シュナリは別に気にしてないようです。


 触られてるのは、わかってると思う。


 今度は頭の毛を撫でてみた。


 いい子いい子するみたいに。


 柔らかい感触だ。


 上から下に撫でてみる。


 柔らかいぞ。


 そのまま首すじへと伝わり、首を触ってみた。


 髪の毛で覆われているので、かき分けてみると綺麗な首が現れた。


 軽く撫でてみた。


 生温かいです。


 それは当然なのだけど、実際に触ってわかることもある。


 その首から背中にかけては防具があり、完全に露出しているのではなかった。


 けども、背中の一部分、だいたい手の平くらいか、は肌が露出してあり、なぜ露出しているのかわからないが、嬉しいです。


 全体が露出しているよりも、一部分の露出の方がいやらしく見えるのは不思議です。


 少しだけ、ほんの少しだけ触ってみたいと思うも、ここはさすがに勇気がいるな。


 敏感な箇所なだけに、変だなと思うに違いない。


 髪の毛でイケたのを理由に触って見たいと思います。


 ピタっと指がくっ付いた。


 背中の感触は柔らかいです。


 そしてやや、汗ばんでいました。


 動いたからだろうね。


 背中の感触を楽しみました。


 そこで終わらない。


 防具の下方には、腰がある。


 腰には防具はなくて、衣服だけであり、形が見てわかる。


 部屋で見た衣服を付けていない姿形と比べてしまいました。


 これが…ああなるのか。


 脱がしてみたいですが、腰の辺りを触ってみます。


 衣服の上からでも腰骨はわかる。


 腰回りはキュッとしめられていて、形が素晴らしいです。


 いわゆる、くびれって奴ですね。


 感触がいいので触り続けていたらシュナリは不思議そうに言った。


 


「ご主人様。私の体に何かありましたのですか」




「何でもない」




「触っていた様に感じしましたけど。もしかして、触りた……いの」




 俺の方に向いて、誘うような言い方でした。




「いや!何でもない。気配はどうだ」




 少し触り過ぎたな。


 敵が居たら、触ってる場合ではないけど。




「魔物の気配は感じなかった。それよりも背中の辺りが感じた。なぜかしら」




「俺が触れたからだろう。背中は敏感な部分であり重要な部分なんだ。敵に見せてはダメだぞ」




「はい、背中を見せると危険なのでみせないようにします。ご主人様にだけ見せます」




「俺だけの背中ってことか」




「ご主人様専用にします。よろしいですか」




「よろしい。約束だぞ」




「約束します。胸に誓って」




 大きい胸を強調させて宣言した。




「誓うのに使用するな!!」




「すみません。胸を使用すると喜ばれるので、軽く胸を使用してしまいました」




「軽率だぞ」




 もちろん軽率なのは大歓迎なのだが、あえて厳しく言っておいた。


 


「状況を調べてくれ」




 状況の方も大事であった。


 この続きは、またにします。


 迷宮に集中を戻してと…。




「人の臭いがします。1人です。右です」




「右にか…。では左に進もう」




「左にですね。本当に触りたくないの……」




「……大丈夫だ。行こう」




 何が大丈夫なのか、わからないが。


 1人で居るとなると不可思議だな。


 怪しいので左に行くのがベストだろう。


 常にシュナリに探ってもらい探索すれば危険は大幅に回避できそうだ。


 なかなかのいいコンビになってきた。


 予定通りに、分かれ道に差し掛かり左に曲がる。


 左に曲がったフロアには何もない。 よし、順調だな。


 そのまま進むには、右側が気になるてものだ。


 振り返って右側のフロアを見てみる。


 誰も居ない。


 シュナリの鼻がミスしたか…。




「誰も居ないぞ」




「いえ…。居るはずです」




「俺には見えない」




「確かに臭いがあります」




 シュナリは揺らぐことなく気配があると。


 ではなぜ見えないのだ。


 気になるな。


 引き返して右側のフロアへ行ってみるか。


 姿が見えない敵。


 危険過ぎるか。


 あえて調べる必要があるだろうか。


 立ち止まったまま考えた。


 俺はこの手の事が気になり始めると、何も出来ない正確である。


 この際、調べてみよう。

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