第6話 13話 ボス戦
13話 ボス戦
クモは地面に落下した。
俺は砂に転がりながらクモを避けたのだった。
危ねえ。
いきなり攻撃っすか。
間髪入れずに俺に向かって来た。
「速いっ!」
大きさは俺よりも大きい。
とにかく気持ち悪い。
小さいのでも気持ち悪いのに、この大きさ。
俺よりも大きいのに、やたら速い。
何度も向かって来るのを避けた。
避けるので精一杯。
足が多い分速いようだ。
ついにクモの突進に避けきれず体当たりを受けた。
「……グッ」
痛い。
車に当たったら痛いのと同じです。
俺はいとも簡単に吹き飛んだ。
砂に転がり痛みを感じる。
クモは俺が弱っていると見たか、近寄ってくる。
近くで見ると更に気持ち悪いです。
俺は冒険者の剣をクモの体に突き刺してやる。
「これでも喰らえ」
「…」
剣はクモに突き刺刺さった。
クモは俺のことを甘く見ていたようだ。
油断したなクモ。
クモは驚いて後方に逃げ去る。
しかし直ぐに突進して来た。
「効いてない?」
油断したのは俺だった。
剣の攻撃はかすり傷くらい。
硬いです。
これじゃダメージは与えられない。
嘘ですよね?
その後は一方的に攻撃を喰らい続けた。
突進による攻撃と、牙で噛み付かれもした。
まさか毒はないよな…。
心配です。
もはや勝負はあった。
俺の負けは確定した。
まさかこんなクモに殺されて俺の人生は終わるのか。
嫌だ。
殺されたくない。
でもこの状況を打破する策は…。
有るか?
この理由の分からないバカデカいアシナガグモとかいう奴を倒せる方法は?
有るとしたら…。
冷静になって考えた。
1つあった。
俺の頭に浮かんだ1つ。
これなら勝てるのか?
いやもうこれしか俺には無い。
1つの選択肢が俺を救ってくれるか嫌でも期待させた。
だがその方法はまだ試してもいないし、どうなるかも知らない。
こうしている間にも俺はクモの餌になり食われて胃で消化されてしまう。
最悪です。
どうせ胃で消化されるくらいなら、一か八か試みてみよう。
結果は運任せ的にして。
俺はクモから逃げるようにして、アイテムボックスを開いた。
砂丸魔書を取り出す。
動きながらなので、落としそうに。
これを落としたら終わり。
魔書を開く。
俺は魔書から砂丸腕輪に送り込む。
「バジリスク!」
砂丸に送り込むと俺は片手を地面に着けた。
砂を掴んだ。
俺は祈るように砂を握る。
次の瞬間に変化は起きた。
砂は金属になり武器へと変化した。
「これなら…」
出現したのはバジリスク。
黒光りした剣は怪しげに俺の顔を写す。
この剣ならクモを斬れるか?
斬ってみればわかる。
俺が行かなくてもクモの方から突っ込んで来る。
バジリスクを握る。
一気に振り抜いた。
「……グッ」
クモは振り抜いたと勢いで弾き飛ばされ壁に激突した。
あれほどに攻撃は効かなかったのに、一撃で死んだ。
「一撃て…強すぎでしょ」
アシナガグモは魔石に。
アイテムボックスに忘れずにしまう。
これを迷宮屋へ持ち込めば金になる。
「ご主人様っ!!」
「うわぁ! 苦しい……」
シュナリが走ってきて飛びついてきた。
顔面に大きな胸が体当たりする。
柔らかいので衝撃は胸に吸収されて、ダメージはなかった。
恐るべし弾力性。
「倒したのですね。凄いです!」
「俺なら大丈夫さ、さぁ戻ろう」
もうこの部屋には用はない。
抱き合ったまま、ボスを倒したことを実感した。
恐ろしい程に攻撃力が高い剣だとわかった。
ボス部屋を出て1階の出口まで急ぐ。
とまだ4階の階段に着いた時に俺の前に現れる。
「ガイル?」
「進……君がボスを倒したのかい」
「魔石は俺が手にしました」
よほど驚いてるのだろう。
まぁガイルのくれた回復薬も役に立ちました。
でも、なんか俺の前に立って邪魔してます。
「そうかい、その魔石を俺に渡してもらおうかな」
「ご主人様、ガイルさんの雰囲気が前回と違います。気を付けてください」
「ああ、俺も思ったよ」
ガイルは今までと違う。
なぜ?
渡す必要はないよね。
回復薬はもらったはずだし。
「渡すってなぜ?」
「俺はその魔石が必要なんでな。死にたくなければ渡すんだ」
「渡すつもりはないけど」
当然だろ。
俺に回復薬を渡しておいてボスを倒させるのもあったわけだ。
初めから俺を騙すつもりだったのかよ。
信用し過ぎました。
命はないてことは俺と戦う。
魔石目当ての盗賊。
戦うしかこの場を逃れる方法はなさそう。
俺が渡す気はないと分かるとガイルの後ろに男の冒険者が3人も登場する。
「仲間が3人も……」
「ふん、おとなしく渡せば助かったものを……死ね……進」
「……」
「ご主人様、どうしましょう」
「ここは俺に任せてくれ」
クモを倒したバジリスクはまだ持っていた。
だけど魔力量をほとんど使うのであと数分くらいしか維持できそうにないな。
倒せるか…4人も同時に。
倒すしかないのだけど、ウインドウを開く。
サーチをしてみる。
ガイル 冒険者レベル15
トンパヵ 冒険者レベル9
スカリ 冒険者レベル8
ヤカツカ 冒険者レベル7
ガイルは別格のレベル。
俺のレベルはまだ3。
しかも部下のレベルまで俺よりも上。
普通にいって無謀でしょ。
バジリスクならどうか。
アシナガグモは倒せた。
この4人にもどれほどの威力があるか、試すいい機会。
「ほぅ珍しい武器だな」
そりゃ、そうです。
魔力量90万なんですから。
めったに見れない物でしょう。
部下の3人が襲いかかってきた。
3人とも俺よりも戦闘の経験はある。
侮れない相手。
「どうやら、死にたいようですぜこのガキ」
「ハハハ。ガキのクセに調子に乗ったな」
「ボスを倒したのはラッキーだったな。けど俺達に捕まったのはアンラッキーだったな」
ガイルの部下は、これでもかと俺を罵倒し、武器を構えると左右に分かれて、いっせいに斬りかかってくる。
鋭利な剣が3本、顔面、心臓を正確に狙い、あと1メートルまで近寄ってきた。
バジリスクを真横に振り抜いた。
ほんの一瞬の間の時間であり、部下は、まばたきすらしてない。
3人は剣を抜く振り上げたまま、俺の周りにうつ伏せに。
「!!!」
ガイルはその状況に絶句した。
それもそのはず、俺ですら倒れたのを見えていないのだから。
だがもう遅いです。
「なっ……」
俺はそのままガイルにも振り抜くと、ガイルは何も出来ずに沈んだ。
その場に倒れたのだった。
偉そうに俺を見下した顔はそのまま変える間もなく瞬殺。
きっと自分が死んだのもわかってないだろう。
残念でしたね。
ガイルを殺した後に着ている防具を欲しくなる。
俺は未装備であり防具は欲しい。
4人の持つ防具を全てはぎ取るとアイテムボックスに入れた。
装備するか売却すれば金にもなるな。
「残念でしたね」
「ご主人様、全く見えませんでした。いつ斬ったのですか」
「俺にもわからないくらい速いんだ。この剣のおかげで助かった」
4人の死体を無視して階段へ向かう。
その時にバジリスクは砂に変わる。
危ねえ。
魔力が切れた。
もし…上の階でガイルが待ち伏せしてたら、バジリスクは使えなかった。
冷や汗もんです。
残りの魔力量を考えて、風の剣を装備した。
出口までも油断はしないで行こう。
しかし魔物には遭遇することなく出口に到着。
ボスを倒すと魔物も居なくなるのかな?
それは知る必要がありそうだ。
無事にターヤの町に帰れたら、魔石に交換してトパーズを増やさなきゃな。
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