第4話 11話 冒険者ガイル

11話 冒険者ガイル


 迷宮地下4階。


 やっと4回か。


 なんとかここまでたどり着き体力も減りウインドウを開く。


 アイテムボックスから回復薬レベル1を出して飲んだ。


 あと2本ある。


 ボスまで持つかどうか。


 ボス戦中でも使用するかな。


 なるべくは使用せずに持っておこう。


 地下4階の魔物が気になる。


 何が来るかは進めばわかるからと前に前に歩いていく。


 体力は回復して幾分楽にはなったようだ。


 デビルバードに何度も攻撃されたからで全くウザったい相手だ。


 と思っていたらそのデビルバードが1匹。




「また来ましたか」




 3階のと同じレベル1。


 ムライ迷宮にはレベル1しか遭ってないので2以上の魔物は心配しなくて良さそうだ。


 剣でぶった斬る。


 もう慣れてきたのか攻撃は食らわなくなった。


 ここで試してみたいことがある。


 今の冒険者の剣を消してみる。


 アイテムボックスから冒険者の剣消した。


 すると元の砂に変わる。


 そこで今度は1レベル低い風の剣を砂丸に送り武器化する。


 果たしてどの程度の差があるのか調べておきたい。


 レベル1ならたいして変わらないのかを。


 歩いて行くといいタイミングでデビルバードと遭遇。




「待ってました」




 向こうは、待ってましたと言っても意味が分からないだろうが。


 先程の対戦と同じような戦況を作る。


 相手の攻撃を待ち伏せて、風の剣でぶった斬る。


 どうかな?




「ちぇっ。生きてるか」




 1回の攻撃では死ななかった。


 致命傷は与えたとは思うが。


 動きは相当に鈍い。


 飛んでるというよりも、ふらふら浮いてるて感じ。


 どうぞ攻撃してくださいって言ってるのも同じ。


 もう一度攻撃を与えた。




「死んだか」




 1激を与えるとあえなく消えてしまった。


 俺の冒険者レベルは同じ3。


 攻撃力などの能力はあっても変わってない。


 なのでレベル2の風の剣では2回必要だとわかる。


 デビルバードでは差はあった。


 もう一度アイテムボックスから冒険者の剣に変化させる。


 他の冒険者のケースでは魔力量に左右される。


 武器化しているだけで魔力を使用し続けるわけだから。


 たとえ強くても迷宮内にいる間維持できないのはマズイ。


 維持できる程度の武器化で攻略を目指すしかない。


 魔力が尽きたら出口まで素手で戦うはめになるのは、自殺行為だろう。


 帰りの魔力量も考慮して冒険する。


 でも俺のケースは違うのは魔力量は大量に余っているので気にせずに強い武器化を選べる。


 その点は圧倒的に有利だろうな。


 そこへ俺の前に冒険者が現れた。




「よくここまでたどり着いたな。俺の名はガイル。この階が最深部と俺は予想してるんだ。なぜかと言うと階段がないし、魔物のレベルからして初級レベルの迷宮。初級レベルの迷宮は4、5階が多いんだ」




「ここにボスがいると…」




 そろそろボスかとは思っていたが、やはりか。


 ガイルっていうんだ。


 ガイルもボスを目指してる。


 協力して戦うのも選択の1つ。


 ガイルとは仲良くしておこう。




「ああ。だけどボスはボス部屋と言われる部屋に居るのが普通だ。その部屋には特殊な仕掛けがある」




「どんな仕掛けですか?」




 仕掛けてのは初耳。


 何の事か…。




「ある条件を満たすと入り口が現れる。冒険者は最深部まで行くだけでは攻略はできない。ボス部屋の謎を解かないとダメなんだ」




「ガイルさんは謎を解いたとか…」




 謎を解かないとダメか。


 それは面倒な仕掛けだな。


 強いだけではボスと戦えないことを意味する。


 ガイルは俺よりも先に来ていたのだから、謎を解いたのかな。




「いいやまだ分からない。もう少し迷宮を探索してみるよ。進は初めての迷宮らしいな。ボス部屋に行けたらいいな。応援するぜ」




「ありがとう。参考になったよ」




「これでも持ってけよ」




「いいんすか。どうもです」




 ガイルは俺に放り投げたのを掴むと回復薬レベル1。


 ありがたく頂いた。


 マジで嬉しい。


 アイテムボックスに回復薬を収納する。


 ガイルは別の道へと進んで行った。


 かなりの有力な情報を得たな。


 オマケに回復薬まで。


 ガイルに会ってなくて仕掛けの謎を知らないと、相当な時間のロスをするところだった。


 冒険には情報は必要だな。


 町でも何も聞かずに迷宮入りしてしまった。


 もう少し情報集めが必要なようだ。


 俺のゲーム進行のパターンは町の人には話しかけないで話を進めていく。


 行き詰まったら、情報集めすればいいやという感じ。


 そのクセが出てしまった。


 もし俺が先に攻略したらガイルにはお礼をしないと悪い。




「最深部か」




 遂に来たか。


 俺はやる気が出てきて歩く速度を増した。


 メモ帳にマップを記していく。


 確かに大部屋らしき物が中央にありそうだ。


 中央だけ道がないから。


 フロア中央だけ空洞になっていると推測する。


 とするとボスはその空洞部屋に。


 入り口を探そう。


 マップを描きつつ空洞部屋の周りを1周してみた。




「ここは…」




 さっき居た場所。


 見覚えもある。


 きっと1周して戻ってきた。


 入念に壁の辺りに入り口があるか探した。


 それなのに入り口はなかった。


 壁しか…。


 俺の推測が間違っているのか。


 マップを記していたので、フロアの内部はある程度把握出来ていた。


 部屋の形をしたものは他にないぞ?




「……」




 俺はメモ帳を見つめて立ち止まる。


 これがガイルの言う迷宮の謎…。


 その謎にハマってるてことか。


 謎を解く。


 結果、入り口が現れるのかもしれない。


 ガイルはその事を俺に伝えたかった。


 ガイルが謎を解いたのかは、分からないけど。


 同じ冒険者として、知っている限り教えてくれたと思いたい。


 それでも歩いていた方が発見があるかもなので、フロアの探索し続けることに。


 2回目の周回の時に思ったのは、壁に矢印があるのでは?


 地下2階と3階にはあった矢印のような模様。


 この4階にだってあるのすれば…。


 俺はもう1度探索を開始した。


 入り口よりも壁の模様を探そうと。


 壁に近寄り手探りまでして歩いた。


 マップをつけながらあらゆる壁を探す。


 途中でデビルバードとバトルになるも、くじけずに蹴散らした。


 こっちはお前の相手をしてる暇はないんだよ。


 そう、つぶやきながら剣を振るう。




「俺の思い違いだったか…」




矢印は単なる模様に過ぎなかったのだ。


 残念にふけてガックリとする。


 そう簡単に解ける物ではないようだな。


 迷宮の探索は足踏みされた。

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