短編「命懸ノ真理」(完)

不可世

一話完結

至極真っ当な解であろう

死がほのめかすのは恐怖であり

危機感を持つことを意味する

しかしこの生きる日々に

どれだけの人が死に怯えているか

まして日本で

飢えもなく、災害以外で苦しむことは少ないのではないか


その解は

いささか真っ当だ

しかし死を感じえない生活こそ

最たる極地ではない

死と同等に目を合わせた数だけ

修羅を超えた数であり

死を感じただけ

人は命の本性に気づくのではないか


まして日本で

戦争もなく

死を感じるには

いじめや病であろうが

それでも死に直面する

危機感を感じえているか

この国家試験に

今ある職の責任に

死を賭してまで

自身をくべられるか


人生において

死は初歩的な知覚認識だ

その枠を超えて

生きることに命を懸けれるか


まして日本で

この日々に

それほど熱意を闘志を燃やせる

そんな重大性をあなたは担っているか


ありえない

ありえはしない

私だって思考を止める

寝て目覚めて

疲労を覚えて

帰る


それくらいだ

それっぽっちだ


しかしこの世界に生きるすべての人が

そうではない


中には

この日本でさえも

命を掛けて所業を成しているものもいる


だから私たちは

発見しなければいけない

命を賭す

その真打を新次元を


無理だろう

何時間と考えても

何年かけても

命を懸けるものに出会えない


出会えるはずはないのだ

だが


私は見た


命をかける人の日常を

それは何か

それは、今のあなたも持っていて

やがて、増えるものにも成りえる


そう家族だ

家族だったんだ


私は今日、家族の日常を見た

幸せだった

幸せそうに笑っていた


あの笑顔は

きっと命を懸けて守りたいものだ


そう思えた


だから

誰もが命を懸ける瞬間


それは

命を誕生させる

愛を築くことだ


それが、私の知りえた

命を懸けた


生き様だ。


さて

君は命を懸ける覚悟はあるかな。

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