短編「年端ノ生末」(完)

不可世

一話完結

死は他人事

そう思っている

誰もが帯びる命という縮尺の中で

何に時を要し

築き、成すか


一辺倒の人生を

一方向の巡りを

超えていき

この与えらた100年余りの胸中を

抱き、手ほどく


どこまで行っても

やがては眠り

どれだけ偉くなろうと

突き詰めようと

死ぬのだ


ならば今日あった全ての事も

さほど問題視しなくていい

確かに謙虚に生きるのは大切だ

しかし無となるから許しを覚えたのだ


永遠があれば

この一瞬がとてつもなく重く思える

一度できた傷も

永遠に付き添わなくてはいけない

人は死ぬからこそ

自由を手にしている


不死ではないこと

死ぬということ

それは人において尊厳を培ったことであり

生存に猛る、思いを強固にした真核でもある


故に死ぬ

故に死が来る


無駄ではないと

より気高く生きようと

死ぬならば死ぬまで謳歌すればいい


もう今日あった全ての不幸を

全ての線分を含みを

生きるたびに捨てればいい


あるのは今と未来だけ

過去を積み上げたから

未来が明るいわけではない


どんな過去でも未来はやり直せる

だから今日という日にありったけの気持ちをもって

その日その日の盤を楽しめばいい


嫌なことがあっても

負けて泣いても

いじめられても


生きれる時間は今しかない

だから生きて

生きて生きて

生きてほしい


僕は間違えた人間だ

まだ年端もいかず

何を悟っているんだと

矛盾を述べてる


だけど今日がそれでいいなら

それでいいんだ


どう締めくくろうと

自由なんだ


なら酒を飲んで

タバコを吸って

ガムを噛んで

コーヒーを流し込んで

深い夜に落ちて

ラーメンを食べる


そんな終わりでいい

だから生きてくれ

死を引き起こすのは自然だけでいい


君はどこまでも生きていけ

終わりが見えないほど

強くあってくれ


それこそ

最たる締めくくりだ

最たる命の施しだ


行くがいい

もう時間は進む

君も生きていけ


例え暗い闇にいても

僕らには時間がある

今があるんだ


だから変えていけるはずだ

死ぬな、死ぬなよ。


お前はもう、ここまで生きた気構えがあった

それを忘れず、生きていけ


じゃあな。

俺は俺で、俺の時間を見つける。

元気でな。

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