秘密

空き缶文学

始まり

 たまに思う。

 寝室まで来て起こしてくれる幼馴染が実はいたんじゃないかって。

 ボォーっとする頭の中、午前をベッドで過ごす。

 いや、もしくは見知らぬ女性2人がどこからか侵入してきて、俺の体を奪い合う展開だってどこかにあったのかも。

 まぁ、期待したところで現実は何も起きないんだよな……。


 スマホの通知音が鳴り、右手が動く。

 マッチングアプリから、あぁそうだ、試しに登録したんだった。

 開いてみると、3件……3人も俺に興味を持ってくれている。

 相手のプロフィールを流し読んだ。

 ふーん……香ばしい気がする。

 好奇心に全振りしたくなるほどの香ばしさ。

 しかしそれは大体みんな隠したがるもので、無理やり探るとパーソナルスペースを展開されておしまい。

 誰にも知られたくない、特別な相手にさえ言えないことだってある。

 じゃあどうすればいいのかって……まぁやってみよう。


「はぁー……起きたくないぃぃい……」


 スマホがするり、腕を撫でてベッドに落ちた――。 

 

  

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