第33話 卒業 ②
【埼玉舞side】
「はぁ~ 」
思わず、ため息が出てしまう。
栃木兄弟と鷺田の不毛な争いが繰り広げられている反対者側では、
「はい、順番に並んでくださいね !」
「そこ ! 順番抜かしするなら、恭介には近づけさせないわよ !」
ホワイトデーでもある今日は、恭介の握手券と云う名の整理券を握りしめた女子がバレンタインのお返しをもらう為に並んでいる。
それを私達、幼馴染みズが交代で護衛兼列整理をしている訳だ。
そう、私はサボっている訳では無い。
愛ちゃんと冬香が列整理して美衣と真弓が恭介を護衛している。
私と栞、さくらが休憩しながらも乱入者がいないか監視してくる訳だが、栞がスマホとにらめっこしているから、監視しているのは実質、私とさくらだけに成る。
ときめき学園以外の中学に進学する連中だけでなく、エスカレーター式で、そのまま中等部に進学する連中まで並んでいる。
ちょっとしたアイドル並みに人気者の恭介は愛想を振り撒きながら次々と市販のキャンディー🍬を渡しながら、握手をしている。
正直、良い気分では無いが、恭介を私たち幼馴染みズが独占しているのを気に入らない女子達をなだめる為でもある。
ガラ ガラ ガラ ガラ !
クラス委員長である
もうすぐ、担任教師の『モテないメモリー』こと、
教師生活二十五年独身時代も二十五年、彼女いない歴四十七年のモテないメモリーは妬み深い嫌な奴だから、恭介を目の敵にしている。
こんな現場なんて見られたら、何を言ってくるか解ったモノではない !
もうすぐ卒業式が始まると云うのに、何の感慨も無い。
卒業式と云うけれど、何を卒業するのかしら ?
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