第22話 抜け駆け !?

【埼玉舞side】


 あの事件の後、私達は緊急幼馴染み会議を開いた。

 中等部に上がる時に最大級の警戒と注意をする為に情報を共有する為だ。

 幼馴染みの女の子達はライバルと同時に同士でもある。


 


 幼馴染みの誰かに恭介を取られるなら、納得はいかないけど我慢は出来ると思う……たぶん、きっと。

 でも、他所の女に取られるのも我慢ならないけど、男に取られるなんて絶対に許さない !

 LGBTには理解有るつもりだったけど、私達の身の回り、大好きな恭介に関わるなら別問題よ !


 それに、蛇骨会も問題だわ。


 赤薔薇、白薔薇、青薔薇、黒薔薇と云うアダ名の不良が幹部だと藤堂先輩が教えてくれた。


 中学生だけに厨二病なんて笑えない冗談ね。

 蛇骨会は中等部から高等部にまたがる不良集団だと云うけれど、不良の互助祖式みたいな存在で大小の不良チームの寄り合い所帯だと判った。

 元々は風紀委員会に対抗する為に一つの組織にまとまっただけだから、蛇骨会への忠誠心は薄いらしいことも判明。

 ただ、それぞれの派閥が蛇骨会での主導権争いを有利にする為に有能な新会員を集めているんだとか。


 恭介が青薔薇のオネエから狙われている。

 だから、対抗するために私達は風紀委員会に入ることにした。

 恭介は中等部の文芸部に入部するつもりだったけど我慢してもらおう。

 しかし、恭介が落ち込んでいるのは解るけど、何故か 栞まで落ち込んでいる。


「栞ちゃん、もしかしてしようとした ? 」


 勘の良いさくらが斬り込んだ。


「アワワワワッ、抜……抜け駆けなんて、そんなつもりは……」


 本ばかり読んで大人しいと油断していた私達はビックリして栞とさくらのやり取りに注目した。


「そういえば、最近 お兄ちゃん恭介と内緒話をしているけど……デートの約束なんてしてないよね ? 」


 流石、さくら。 聞きにくいこともズバズバ聞くわね。


「ちっ 違うよ ! ただ、中等部に入ったら 私と恭介くんで、Web小説を書く相談をしていただけだよ !

 やましいことなんて…………(ボフッ !)」


 恭介とのを想像したのか、栞の顔は真っ赤に染まった。

 文学少女だけあり、栞は想像力が豊かなのだろう。

 時々、夢の世界の住人に成ってしまうこともある。


「お兄ちゃんとは、バラバラに書くの ?

 それとも……」


 なおも斬り込む さくら。


「アワワワワッ、最初だけだよ、最初だけ !

 オメガポリスとヨムカクで書くのだけど、馴れるまでは恭介くんと相談しながら書くことにしているだけだよ ! 」


 具体的に、そんなことまで決めているの !

 流石、グンマー 。 私達、埼玉家のライバル家だけはあるわ !

 栃木家が茨城家をライバル視するように、埼玉家と群馬家もライバル関係にある。

 さらに栞を問い詰めると、ヨムカクのイベントに参加するのだと言う。


 このままだと、恭介と栞の距離が縮まってしまう。

 私達の悩みの種は、尽きることが無いようだ。


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