第15話 もう一つの幼馴染み達 ②


 能美伸美太のうみ のびた

 アタシ達が好きな男の子

 アタシ、青山詩乃あおやま しの瑠璃小路夕姫るりこうじ ゆうきの好きな男の子


 ようやく、アイツらシャイアン達から取り戻した。

 伸美太は元々アタシ達、三丁目の子である。

 アイツらと違い幼馴染みはアタシ達だ !

 それを、遊びに行っていた児童公園でアノ女、近衛静香このえ しずかに一目惚れさえしなければ、アイツらとつるんで遊ぶことも無かったのに……

 あの頃は伸美太と仲の良い川越かわごえ和人、直葉兄妹は武術の道場に通い、アタシは学習塾、夕姫は身体が弱く病院通いと伸美太と遊ぶ時間が無かったのも事実だけに悔しかった。


 でも、伸美太はアタシ達の元に帰って来てくれた。

 傷つきながらも誰にも八つ当たりすること無く堪えている彼をアタシ達は必死に支え慰め励ました。


 その成果か、昔の伸美太に戻りつつある。

 しかし、アノ女静香を奴に取られたからか、伸美太は誰かを好きになることが怖がっている気がする。


 だけど、そんなの関係無い !


 アンタ伸美太のことを本気で好きなアタシ達はそんな気持ちを上塗りさせるくらい、愛して見せるから !


 とにかく、これからアタシは伸美太にどんどんアタックしていく。

 今が幸せだけじゃなくて、これからアタシと一緒にいることが幸せだと思えるようにね……

 


 ◇◇◇


 ホワイトデーなんて、待っていられない !

 夕姫と壮絶なジャンケンを繰返して、最初のデート権利をゲットした。


 シャワーを浴びて、アタシは服を着替える。

 普段はなるべくシンプルなものを選ぶのだが……


「薄めにして、攻めてやろうかしら」


 アタシがデートをする相手は超がつくほどの鈍感。


 あくまで伸美太に自分のことをちゃんとした女だと意識させるためだ。


 アイツ伸美太は、女であろうと男だろうと仲間というくくりでしかない。

 少しくらい女として意識させてやる。


 そうして、距離を取ろうものなら……


 寝込みを襲う……いやいや、こんな過激なことを考えるなんて駄目ね……

 ライバルが強力だから、ついつい過激な考え方をしてしまう。

 それくらい、夕姫は純粋で可愛い女の子だ。

 アタシが男だったら夕姫を選ぶに違いない。


 しかし、アタシはまだマシな方なのだ。

 親友の茨城冬香などは強力なライバルが多数いる上にターゲットの茨城恭介は従兄妹。

 彼からは扱い、家族として見られているのだから、アタシより壁は高く厚いだろう。


 頑張れ、アタシ ! 頑張れ、冬香 !





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