第13話 君は生き残ることが出来るか ?

【埼玉舞side】


 バレンタインデー


 わざわざ学校で渡しても、ヒガミでチョコを取られることを予想した私達。

 いつものように、恭介を迎えに行った時に直ぐに渡すことにした。

 一瞬、ポカーンとした恭介。

 ハニカミながら笑顔でお礼を言う姿に見惚れてしまったわ。

 変に見栄を張る男どもと違う、いつまでも素直なアナタでいて欲しい。

 チョコは春香さんや冬香の母親である優華さんが預かってくれた。

 恭介に取っては叔母さんにあたるそう。

 恭介の両親は遠い国で重要な仕事をしているので、帰国も難しいと聞いたわ。

 恭介の両親、光介さんと恭華さんはおしどり夫婦らしく、とても仲が良かったと聞いている。


 いつか、結婚式には逢えるだろう、未来の義両親のことを考えながら教室に入ると……


 粕谷剛かすや たけし鷺田脛夫さぎだ すねお、栃木兄弟が自慢話をしていた。


「流石、シャイアン粕屋剛 ! モテモテですねぇ~。 ボクちゃん、うらやましいー !

 どうだ、栃木兄弟 !

 シャイアンの色男ぶりに恐れ入ったか !」


 シャイアンこと粕屋剛が沢山のチョコを抱えている姿を鷺田脛夫が褒めちぎっている。

 返す刀で栃木兄弟を挑発するけど、


「何、言ってるんだっぺか ?

 バレンタインチョコは量より質だっぺ !

 オラ達はを一つ貰えただけで満足だっぺ !

 オメェらのは義理チョコだっぺよ !

 否、同情チョコに違いなかっぺ !

 モテないオメェらへの同情チョコだっぺよ」


 蓼食たで くう虫も好き好き、と聞くけど……


 ピコーン ♬


 スマホに通知があり確認すると、の号外が入った。


 非公式新聞部が出す学園裏サイトの新聞。

 生徒会や風紀委員会が躍起やっきに部員を探すけど、実態を掴め無い謎の部活動。

 会員だけが読めるので、学園側も取り締まりが難しいらしい。


 ─────────────────


 号外 ! 演出 ? 捏造ねつぞう

 モテない男達のみにくい争い !


 君は時の涙を見る ?


 ─────────────────


 そこには、 粕谷剛かすや たけし鷺田脛夫さぎだ すねお、栃木兄弟がスーパーでチョコを買う姿の写真と彼らの近所や両親から取材の話が載っていた。

 彼らを見ていた私達の目が一斉に冷え込んでいるのに気付かずに自慢話をする四人。


 取材記者の名前には偽名であろう、東好帆雷華とうすほ らいかの名前があった。


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