ワールド

ミハネショウジ

1

ジリリリリリ…

…6月22日、火曜日。

うるさい目覚まし時計の音で目が覚めた。

また今日も学校だ。行かなくちゃ、行かなくちゃ…


重い体を動かして、1回へと降りる。洗面所で顔と歯を洗った。

鏡を見て、自分はやはり子供っぽい顔だなと思った。しかし目の下に濃いクマがあり、目は鈍い光を発している。


朝食を食べて制服へ着替える。そして部活用のバドミントンのラケットが入ったバッグと体操着が入ったバッグの2つを持つ。持ち慣れたバッグ。


「行ってきます」


家を出てゆっくりと学校へ向かう。

見慣れた通学路、雲ひとつない濃い空、気持ちいい風。僕は、この時間が大好きだ。

しばらくすると学校に着き、校門を通ると、近くに大きな人影が3つ見える。


最悪の時間がやってきた。


正直、何故同じ部活のこいつらにいじめられているのか分からない。何もしていない。

ただ単に、3年だから威張ってるとか、何もしてないけどムカつくからとか、そういうのだろう。1つ下の僕で毎日遊ぶ。


耐える、耐える。腕をぐっと掴まれた。痛い。耐える、耐える。

顔を殴られた。地面に転ぶ。痛い。耐える、耐える。

周りの人は見て見ぬふり。教師まで、何故。耐える耐える耐える耐える

腹を蹴られた。苦しい、苦しい。耐える耐える耐え



耐えろ。



3人は飽きたのか去っていった。いつも通りだが、やっと終わったと毎回安堵する。

ぐしゃぐしゃのまま教室へと入った。

「おはよー」と言う。いつもの光景。笑顔で。

「うわ、どうしたの?すごい汚れてるよ」

「うん、またうちの犬が外ではしゃいじゃってさー」

「へーそうなんだ、ケンタくんのとこの犬、すごく元気なんだね!」


しばらくすると授業が始まるが、ふと口の中に違和感を覚える。

舌で探ってみると、奥の歯がグラグラしていた。きっと殴られた時のだ。くそ、折られた。

しかし今は頑張って授業を受けなくては。元気に授業。元気に手を挙げよう。


授業を終えた後、トイレの鏡の前へ。

やはり折れている。指で触るとついに取れてしまった。


見ると、その抜けた歯は青色だった。


自分の顔を見ると、子供っぽい顔だった。クマはいっそう濃くなり、目はギラギラと光っていた。

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