断る理由

介裕

第1話

 百人目の告白を断った事を切っ掛けに、俺に告白してくる女子は誰もいなくなった。5回目の時には理想が高いと言われていたが、三十を越えたときには女性への恋愛感情が無いとの噂が広まっていた。心外な、間違いなく下心で女性と知り合いたいぞ。断るたびに、付き合わない理由を聞かれたので答えると、とても驚かれる。驚くことは無いだろう。

 五十を過ぎたら友人が祝ってくれたが、正直大きなお世話だ。目指せ、百人斬りならぬ百人振りと自分よりも盛り上がる友人を冷めた目で見ていた。

 見事百人の告白を受けた後、私は孤立する。閉鎖された学校という空間だ。当然そうなることは分かっていたが、私はその一線を越える事は出来なかった。

 百一人目は食い下がってきた。いつの間にか自宅へ帰る途中の俺について来たり、見ていた番組の内容や笑いのツボを指摘してきたりと、実際ストーカーになってしまった。

 それを諭し導くのが、女子高の教師である自分の役目だが、なぜ女の俺と付き合おうとするのか……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

断る理由 介裕 @nebusyoku

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ