第4話 物騒な世の中
私は無事六歳になった。
この頃になると、私は訓練をしながら実践を熟したいと思うようになっていた。
私が今居る世界には、野盗や魔物と呼ばれる危険な存在が居る。
それは私が住まう男爵領も同様である。
我が父ジャンも日々これに対処しているようだが、野盗や魔物と行った存在は一向に居なくなる気配がないのだ。
そこで私は、六歳になったこの契機に自身が何処まで動けるのかを試すべく野盗を始末する算段をした。
私が見つけた野盗は三十人程の集団であった。
何処かで獲物を得たのか、夜の帳に紛れて宴を開いている最中であった。
周囲には殺されたであろう商人達が、まるでトロフィーを飾るかの様に吊されていた。
実に悪趣味な連中であった。
私はそんな彼等を観察した。
見たところ今の私でも十分に対応出来る力量だと判断。
私は夜闇に紛れて活動を開始した。
まずは相手に気付かれない様に少しずつ数を減らしていく事にする。
魔力を練り上げそれを糸状に加工。
それを野盗の首に括り付け締め上げて窒息しさせていく。
これが中々力加減が難しく、あまり力を込めると首が千切れてしまうので、ちょうど良い具合に力を込めるのが肝要だ。
そうして少しづつ少しづつ野盗の数を減らしていくと、異変に気付く者が出始める。
「おい、もう酔っぱらっちまったのか?」
と、声を掛け揺さぶられる野盗。
私が殺した野盗の身体がドサリと倒れてしまう。
これに驚愕するのは声を掛けた野盗。
「!?死んでる!」
この声に野盗達は俄に殺気立つ。
そして、野盗とは思えない連携を発揮して陣形を組む。
「だれだ!」
「どこから攻撃された?」
等という声が上がるがそんな事等お構い無しに私は魔力の糸を使い彼等を一気に殺す事にした。
極細の魔力の糸が生き残った野盗達の首に伸びる。
全ての糸が絡まるのを確認した私は一気に野盗達の首を千切り飛ばした。
そして訪れるのは焚火のパチパチと燃える音のみ。
私は周囲を確認しながら、今自分が殺した者達の元へと近づいていく。
一人一人ちゃんと死亡しているかの確認をしていくと、森の中から三名の男が姿を現した。
その内の一人から、
「これは…
おい、そこの小さいの、これはお前がやったのか?」
「…」
私に気取られずにやって来た処を見るに相応に手練れのようだ。
この辺りの気配の察知は実戦経験の少なさが露呈してしまった形だと反省しつつも次の行動を考える。
「答えはなしか。
まあ、そりゃそうだろうな」
その言葉を最後に私と今現れた男達との間に緊張感が膨らんでいく。
次の瞬間男は剣を抜き放ちつつ此方へ急接近。
私はそれを見切りつつ、糸を男へと向かわせる。
「これは魔力の糸?」
男が疑問の声を上げている隙を狙い、私は男達の首へと糸を届かせて男の首を千切り落とした。
野盗と今来た男達との間にどんな関係性があるのかは解らないが、今の私では手加減をして拘束する事が出来る敵では無かった為殺すしかなかったのが惜しい。
明らかに、ただの野盗とは纏う雰囲気が違う存在からの情報は引き出しておきたかったのだが…
とはいえだ、ここには野盗が集めたであろう様々な物資が存在している。
私はそれを調べる事で何か掴めるものが無いかと思いそちらへと足を向けた。
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