僕たちの秘密基地。【カクヨム創作フェス】

aviane

第1話 僕たちだけの居場所だ!

キーンコーンカーンコーン!

学校の終了チャイムが鳴ると、みんな、時間を持つ。

勉強を頑張る子は家へ帰ってから何してるだろ、また勉強してからなのか?そうして塾へ。時間を内気な遊びに費やす子は比較的安易なゲームセンターへ。外で遊ぶ子は閉校時間まで開いてくれる校庭へ野球をしに行く。


ここは昭和の学校。昔、公園などに木々の間にこっそり三、四人入れるスペースに空間を作って独特の遊びをする場所を秘密基地と言った。僕たち落ちぶれや授業中にジョークを飛ばす変人の集まりだ!ここで駄菓子屋で買ったおもちゃ菓子で遊んで食っておしゃべりをするだけだ。


「礒部?今日も秘密基地ってヤツか?」塾に通っている、移築堅志くんがいいなあという目を隠さず聞いてくる。

「おう!なにしろ秘密基地だけは壊されずに済む方法考えているところだ!」堅志くんは良いヤツだから教えてあげている。というか、グループ以外にも秘密基地の場所だけ知っている同級生は結構いる。しかし、遊びに加わってこないのは、グループ内に学校でたまによくいる[不良男子]ってレッテル貼られた内木菜延というやつがいるからだ。

「壊されないと良いな。あそこの公園、つぶされるとマンションが立つらしいから。ウチの洗濯モノが日陰になるって母さんが文句言ってた。」

「母さん?まさか。」

「いや、秘密基地のことは言ってないぞ。俺たち小学生だけの特権っていうのだって大学生の兄さんが言ってた。隠しておくよ。、、、でも、、、僕にもいつか案内してくれよ。」

「ああ!ありがとう!約束だ!」

小学生の頃のこういう秘密の約束を守っていられても叶えれる人間は少ないと思う。オレもそういうふうになるのはこれから20年経ってから知った。


公園によく集まるのはオレーー礒部勝吉と、不良扱いされてて燻っている内木菜延くん、それからたまに水泳コーチの塾に行かされているのちに高校で水泳部に通うことになる北部奉斎くん。それから落ちこぼれマドンナ、(といっても男だけど)、愛久氏愛花ちゃんだ。

今日はお菓子を駄菓子屋に寄ってから遊びに加わっていった。


そうしたら、大人たちがいた。そこから隠れてみんながいた。

大人たちは「出てきなさい!」などと叫んでる。

とうとう、見つかったのだ。


僕たちの秘密が。


僕も大人たちに従ってみんなに促した。「ーーーみんな!ごめん!オレがいたから場所がばれたんだ!そういうことで!出てきてくれよ!」

ーー「何言ってんだ?!お前はカンケーないだろ!?」がさっと音を出して内木菜延くんが慌てて出てきた。みんなもコソコソ出てくる。


「ーーほら!子供の時間はおしまいよ!」

「母さんー、、いたの。。」

ーーそう、僕の母さんが言い出したことなのだ。地元では有名な不動産屋の娘なのだ母さんは。


僕のもう一つの秘密のせいで公園はマンションに変わることとなった。同級生にはこの母さんの特技を秘密にしていた。公園などの潰し屋なのだ。


内木菜延くんや愛久氏愛花ちゃんが慰めてくれた。別にお前のせいじゃないだろ。そうそう。もうこの公園、おもちゃなんかがボロボロだし、草もボサボサだもん。時間の問題だったよ。


もう一つの秘密を知っているのに、こんなに優しい同級生を持てて、自慢したかった。

ありがとうみんな。。また集まろうね。。いつか絶対。


そう言って、壊された秘密基地に集まったのは10年後だった。


「あの時は懐かしー。なんで女装してたのかなあ僕。今でも好きだけど。流石にもうしないなあ。」「俺ももう少し先生たちに素直に教わることなんなり、、、しとけば良かったよ、、、。高校で苦労してる。」「オレはあの時はスイミングスクールのが忙しくなった時あったけど秘密基地が最高だった。お前らが授業中に言ったオレのジョークを今でも懐かしんでくれるからな」「ーーみんな、、、今日はありがとう。お別れ会するか?」


ーーあゝ!最高の秘密だった!!!みんな愚痴を言いつつ、、、秘密基地(今現在のマンション)にお別れ会をした。

そこで親に買ってもらった酒瓶を一つ置いていった。

大人に一歩近づいのだ。


さようなら最高の最低の秘密基地!


end.




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僕たちの秘密基地。【カクヨム創作フェス】 aviane @LiLiaviane1987

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