アリスのもう1つの夢(2)
アリスは今から2週間前に自らテストを申し出た。そのテストを突然変更し、宮本副編集長に勝負を挑むとはいったいどういうことなのか、それもテスト初日に。
アリスには叶えたい夢がもう1つある。その夢とは、夢先生の担当編集者になること。
今から5年前、アリスは、父親から絶対に無理だと、宮本に勝てるはずがないと言われ。アリスはその夢を諦めざるを得なかった。
アリスは夢先生の描く、異世界ファンタジー漫画が大好き、大ファン。叶うことなら夢先生の担当編集者になり、一緒に異世界を探したい、夢先生と同じ匂いがすると思っている。そして、夢先生に画力に圧倒され、この人には叶わないと。
アリスはこの夢を一旦は諦めた。しかし、アリスは、夢先生の担当編集者になることを諦めきれなかった。勝負をせずに終われないと思い、宮本副編集長に無謀ともいえる勝負を挑んだ。
滝沢編集長は納得がいかない。このままでは、アリスはここで働くことができなくなる。すでに勝負はついている、アリスの負けだと。
アリスは、自からテスト内容を決め。夢先生の担当になれなくてもいい、近くにいて夢先生を感じ。夢先生に編集者として認めてもらい。そして、宮本副編集長にも認めてもらいたい気持ちがあった。
この勝負を挑まなければ、本日から1ヶ月間、夢先生の担当編集者として働き、編集者として総合的な評価を宮本副編集長に判断し、合否をゆだねるというテスト内容だった。
夢先生こと、ペンネーム、夢のかなよ、26歳。今から6年前、彗星のごとく現れ、異世界ファンタジーの申し子と言われ。異世界ファンタジーを書かせたら、右に出る者はいないとまで言われ。世間では、夢先生のことを「ゆめかな」と呼び。特に女性に人気を博していた。
佐々木出版社と専属契約をしている夢先生は、滝沢編集長の漫画に対する熱い想いが、夢先生の心を動かし専属契約をし。今では、大人気の漫画家となり。漫画も売れに売れまくり、アニメ化もされている。
アリスは焦っていた。今から3日前、アリスは奇妙な夢を見た。こんな夢は生まれて初めて見る夢。その夢の断片には、異世界の扉を開き、輝く光。アリスの後ろには、夢先生が立っている。その異世界に行ったことは覚えていない。ただ、夢の中でアリスは夢先生の担当になり。そのおかげで異世界を見つけ、夢を叶えてくれた。これは異世界を見つけるチャンスだと思い、あれは正夢だと信じ込んでしまった。そして、夢先生の担当にならなければ、異世界を探し出すことはできないと思い込み、テスト内容を変更した。
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