急展開
いしも・ともり
第1話
「危ない!!!」
意識を失う前、私の目の前にいたのは、私の推し、
『堤先輩の顔がこんなに近くに…。』
次に私が目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。まだ視界も頭もぼんやりとしている。ゆっくりと顔を横に向けると、パイプ椅子に座ってスマホを操作している先輩の姿が見えた。
「あ!目が覚めた!大丈夫ですか?今、ナースコールしますね。」
何が起こっているのかわからない私。看護師さんがすぐに到着する。
「気分はどうですか?話できますか?」
「はい…。」
「名前は?」
「
「年齢や住所や連絡先は言えますか?」
「16歳です。住所は、〇〇市△△…。」
「ご家族で連絡つく方いる?携帯の番号とかわかるかな?」
母の携帯番号を伝えると、看護師さんは一先ず、保護者の方に連絡するからと、退出した。再び、先輩と二人きりになる。
「はじめまして。僕は、
「そ、そうだったんですか。ありがとうございます。今朝から、頭が痛くて、意識がなくなる前、耳鳴りがして、音が何も聞こえなくなって…。そしたら、堤先輩の顔が間近に見えて…。」
「堤…先輩?僕…俺のこと知ってるの?」
「はい。私、同じ浜中の後輩です。」
「そうだったんだ!いやー、焦ったよ。急に倒れるし、危機一髪のところで、山崎さんを抱きとめたんだ。でも、呼びかけても反応ないし、名前も何もわからないし、一緒に救急車に乗ることになって…。めちゃ焦ったよ。意識戻って良かったーーー!」
「迷惑をかけて、ごめんなさい。」
「ううん。山崎さんが無事で良かったよ。」
看護師さんと医師が入室してくる。
「お母さんと連絡とれたよ。すぐに来てくださるそうだよ。多分、貧血だと思うけど、もう少し、問診と検査しようね。」
「あ、じゃぁ、僕はこれで失礼します。」
医師と看護師に丁寧に一礼した。
「あ、あの…、堤先輩…。連絡先…。」
「あ、倒れた時の状況とか説明が必要だったらいけないから、連絡先は、病院に伝えてあるから。看護師さん、中学の後輩なので、山崎さんに僕の連絡先、伝えてもらっていいですか?」
「山崎さん、元気になったら連絡して!今日はこれで帰るね!」
先輩は時計を気にしながら、いそいそと帰っていった。
まさかの急展開!推しの連絡先をゲット♪
でも先輩に抱きとめてもらった感触を覚えていないなんて…、悲しすぎる!
急展開 いしも・ともり @ishimotomori
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