第4話 魔王城

 王国と同じ大陸の北の果てにある魔王城。

「魔王様、あの小娘が新造されたダンジョンに到着した様でございます」

 魔王の側近中の側近である悪魔デーモン族のアビゲイルが、うやうやしく膝をつき報告する。

「うむ、オーガキングでは失敗したが、魔王軍四天王の1人ならば問題あるまい。四天王の事知ってんの~?なんてな、知らんけど」

「知らんのかーい!」

「いいツッコミだぞ、アビゲイル」

「お褒めいただき恐悦至極」

「我を瀕死状態にした小娘の泣きっ面が早く見たいわ!次の報告を頼むぞアビゲイル」

「はっ」

 赤いマントを翻すと、その豊満な胸をブルルンと揺らしながらアビゲイルは玉座を後にした。


 魔王と謁見していた時と比べて、その表情は一変している。

「魔王様はお優しい方だから、小娘のした事をちょっとした意趣返しでお済ましにされるつもりであろう。だが、私の愛しい御方を傷つけた事許しがたい…死をもって私が必ず償わせてみせる」

 アビゲイルが拳を強く握りしめると、黒い血が滴り落ちてきた。

「その為には、絶対あの方に私の狙いを悟らせる訳には参りませんね」

 アビゲイルは口角を上げると、血の跡を残しつつコツコツとヒールの音を響かせる。

「見ていろ小娘、ギッタンギッタンにしてくれるわ」

 高笑いを残すと、アビゲイルは黒い霧となって魔王城から消え失せた。

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