第7話 俺は姉に○○される。

「わたしたち、姉弟になって3か月ちょっと経つよね?」

「そうですね」

「なのに健くんは、わたしたちと距離をいつまでも置こうとしてるよね?

いつだって他人行儀で、お父さんやお母さんよりも年齢が近い、姉のわたしとすら、全然関わろうとしないよね?」

「それは、静さんも同じじゃないd」

「それでさ、今日は、健くんがわたしの部屋にいるでしょ?だから」

「それはあなたが」



ドサッ!



姉が俺の反論を遮り、真剣な表情を変えることなく、いきなり俺をベッドに押し倒す。



「静さん、いきなり何するんですか!?何のためにこんなこと!」



姉にいきなり押し倒された俺は、姉に抗議する。



「だからさ健くん。今からここで、わたしといーっぱいスキンシップしよう?

まずは、ここでわたしと、物理的な距離じゃなくって、心理的な距離を縮めよう?」

「な、なに言ってるんですか?

というか待ってください、一体何をしようとしてるんですか?静さん」

「わたし、健くんと家族になってからずっと、健くんとこういうことをいっぱいしたいって思ってたんだ」



相変わらず真剣な表情の姉が、ベッドに押し倒されている俺の上に馬乗りになる。

更に姉は、俺の上にうつぶせで寝そべる。

真剣な表情から、少し恍惚とした表情に変わった姉の顔が、俺の目の前まで迫る。

一歩間違えば、唇同士が触れ合う距離だ。



「静さん!本当に何しようとしてるんですか!?」

「言ったでしょ?わたしたちの間にある距離を縮めるって。だからまずは物理的な距離を縮めるの」



姉に押し倒されたという事実に頭がついていかないうえ、姉が言っていることが意味不明なため、俺はパニックに陥る。



「静さん、いったい何を言ってるんですか?

そも、静さんだって、私との距離を縮めようとしなかったじゃないですか」

「あのことがあって、心の整理に時間がかかるだろうからって思って、あえてこっちから近づくことはしてなかったんだよ。

でも、さすがに3ヵ月経っても他人同士みたいに接してこられたら、いくら心の整理がついてないとしても、健くんが距離を縮める気がないってことはわかるよ。

健くんは自分から距離を縮める気はないってことがわかったから、今日こうしてわたしから行動を起こしたの」


俺は姉に図星を突かれ焦る。まさか、姉が俺の考えに気づいていたとは。

だが、気づかれたとしても、俺は考えを曲げるわけにはいかない。

そう思い、俺は姉に反論する。



「わ、私は例え、静さんが私の考えに気づいてこんなことをしたとしても、考えを変えるつもりはありません。

それに、私たちは姉弟ですよ?姉弟がベッドの上で互いの体を密着させてスキンシップするなんて、間違ってます」

「姉弟ならこれくらいは普通だよ?

それにそもそも、わたしたちは義理の姉弟でしょ?

恋人同士でするスキンシップ以上のことをしても、法的に何の問題もないんだから、何も間違ってないよ」



姉が、まさかの法律を使った反論をしてくる。

なので俺は、姉と同じく法の論理で反論する。



「静さん、いくら義理の姉弟だからと言っても、互いの同意がなかったら、今のこの状態は、ほかの犯罪、例えば暴行罪になる可能性もありますよ?

「ふぅん、そういうこと言うんだ。でも、どうやってそれを証明するの?証拠はどこにもないよ?」



姉のさらなる反論に、痛いところを突かれた、と思う。

そこで俺は、姉の暴走を止めることをあきらめる。

すると姉は俺の表情から察したのか、ニコッとどこか含みのある笑みをする。



「ふふ。じゃあ今日は、ベッドの上でたくさんスキンシップするから。わたしとたくさんイチャイチャしようね」



姉が、俺の耳元で艶やかな声で囁く。

あれれーおかしいぞー?

スキンシップをしようと言っていたはずなのに、なんで更にイチャイチャすることになってるんだ?

というか、今更ながらに、まさか姉が俺にこんなことをしてくるなんて、夢にも思わなかった。

俺の知ってる普段の姉とのあまりのギャップに当惑を禁じ得ないのと、それを隠しきれない。そして姉に論破されたことに、すさまじい悔しさを覚える。



「今日はわたしが寝落ちしちゃうまで、イチャイチャしつづけるから」



俺がそんなことを感じていると、姉が膝を立てた後、超絶イケメンボイスで、俺に対してそんな宣言をしてくる。

姉はそのあとすぐ、立てていた肘を伸ばして、全体重を俺に乗せてくる。

そしてそのまま、俺の体を抱きしめてくる。

姉からの体温が嫌でも全身に伝わってくる。



「ふふ、健くーん」



姉が俺の名前を呼びながら、全力で甘えるような声で頬ずりをする。

頬ずりを終えると、姉は抱きしめながらも少しずつ体を動かして、今度は俺の胸に顔を埋める。

姉のほうを見ると、姉は俺の胸に顔をうずめながら、匂いを嗅いで恍惚としている。

あと、姉の体勢のせいで、2つの柔い感触がダイレクトに感じる。

姉に抱きしめられてるから、全身で姉の体温が感じられる。


結局その後、姉は俺に散々"スキンシップ"したあと、俺に抱き着いたまま寝た。

俺は姉が寝たのを確認して、そっと姉の抱き着きから離れる。

姉から離れた後、緊張から解放されたせいか、すぐにすさまじい眠気を感じる。

眠気のせいで俺は自分の部屋に戻ることができないまま、そのまま姉のベッドで眠った。

こんなことは今日で最後、そう直前に思って。

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