第6話 アドリブで危機一髪?

 怪人からロープを奪い、私は闇落ちしたシルフィを演じる。

 破れかぶれのアドリブだ。

 そしてロープを振り回し、他のメンバーと怪人を攻撃した。

(みんな、避けて!)

 私が着けている腕時計はマスター。それならば、ロープを繰り出すタイミングが電気信号として彼女らに届いているはず。


 目論見は的中した。

 私が繰り出す攻撃を、絶妙なタイミングでみんなが避けてくれたのだ。

(よかった……)

 ほっとする一方、この先の展開はどうしたらいいの?と不安になる。

 

 予定通りなら、マスターである怪人が最後にやられて終わりになる。

 が、今のマスターは自分なのだ。

(もしかして、私がやられちゃうの?)

 それはなんか嫌だ。

 でもそれしかショーを終わらせる方法はない。

(嗚呼、私がやられるしかないのか……)

 ロープ攻撃を繰り出しながら私は、詰んでしまったことを感じていた。

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