今度こそいいスキルを手に入れたぞ!
テリヤキサンド
今度こそいいスキルスキルを手に入れたぞ!
冒険者ギルドの酒場にて2人の男が談笑していた。
「ふふふ。」
「なんだよ、その笑い。」
「いやね、いいものを手に入れたんだよ。」
「いいものねぇ?
でも、前騙されたことあっただろう。」
そう男が言うのはやっと今のように酒場で呑気に飲めるようになる前のこと。
「第六感」というスキルを手に入れて、ノリノリでダンジョンに行ったのだが、スキルが発動する際の音がうるさすぎて使えないもとわかり、そのスキルを消すために色々とひもじい思いをしたことがあった。
それもあり、今回も何か裏がありそうだと感じていた。
「いや、今度こそはいいスキルだ!
その名も危機一髪!」
「回避系スキルか?」
「そんなもんだが、百聞は一見にしかず。
と言うわけでこれを見てくれ。」
男はナイフを持ち、もう片方をテーブルにパーに広げる。
トントントン!
ナイフは指と指の隙間を縫って刺さっていき、指にかすることもない。
男の技量ではここまでのことはできないはず、そうなるとスキルのおかげだろう。
「どうよ?」
「ああ、これがスキルの効果から使えるな。」
「そうだろう、そうだろう。
じゃあ、早速ダンジョンに行くとするか!」
意気揚々と出かけた先はトラップだらけのダンジョン。
ここにはかなり危険なトラップが多いが、そのかわりモンスターはほとんどでないため、トラップをこえることができるならば、稼ぎのにもってこい。
「いやあ、スキル様々だな。」
危機一髪を使いながら移動しているのだが、かなり罠の量が多く、そのほとんどが致命傷になるかもしれないものばかり。
でも、スキルがあればその心配もない。
なら、後は金になりそうなものを回収するだけ。
そう思っていた
「全く、どんだけ罠があるんだか。
スレスレで避けてるから、汗が冷たくなって、気分が悪くなる。」
「まあ、それがデメリットかもな。
あれ?」
「ん?どうした?」
「いや、お前の髪ってこんなにボリュームなかったかと思ってな。」
男がみるのは前を歩くスキル持ちの男の後頭部。
前はアフロのようにかなり量があったが、今は頭の輪郭がわかるくらいになっている。
「そういや、頭が涼しい感じがする。」
そう言いながら、頭を触る男にトラップの矢の雨が襲いかかる。
が、矢の雨は体には刺さらず、それていく。
その時、
「え?」
頭を触っていた男が手を目の前に持ってくるとそこには十本ほどの髪がついていた。
「どういうことだ?」
髪が抜ける現象を見て固まる男に背後の男は考えをまとめていた。
「スキル名は危機一髪。
もしも、言葉通りなら、これ以上の探索はやめた方がいいな。」
「おい、どう言うことだよ。」
「多分だが、危機一つに対して一本髪が抜ける。
これがデメリットだとしたら、髪がなくなったらどうなるんだろうな。」
「そ、それは・・・。」
最悪の想像、ハゲになった瞬間、代償がないためにスキルが発動しない。
その後は・・・。
想像しただけでブルっとなるほど。
「とにかく、罠が発動した床だけ伝って外に出よう。」
「ああ、そうするとするか。」
男達はビクビクしたまま、街へと帰り、またスキルを削除するためにまたひもじい生活送る羽目になり、スキルを得た男は髪がなくなっていた。
今度こそいいスキルを手に入れたぞ! テリヤキサンド @teriyaki02a
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます