黒檀のように黒く

 黒檀の柄のナイフをあなたの皮膚と肉の間に入れて、ゆっくりと動かしていく。

 このナイフ、覚えているでしょう。あなたが彼に使ったナイフだよ。

 


「まるで、白雪姫みたいなやつだった。男の癖に」

 あなたは彼のことをそう言ったよね。

 確かに彼は雪のように白く滑らかな肌と、黒檀のように黒く艶やかな長い髪と、血のように赤く濡れた唇をしていた。

 あの日。一人では危険だとあれほどぼくが止めたのに、彼はあなたの元に飛び込んで行った。

 あなたは白いロープで彼の自由を奪い、黒檀の柄の皮剥ぎナイフで赤い林檎のように彼の肌を剥いでいった。

 今、彼と同じ目にあって、楽しいかい。

 彼も今のあなたみたいに苦しんだかい。

 そうやって泣きながら、許しを請うたかい。

 彼はね。ぼくの大切な相棒だったんだよ。



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