剥きにくい林檎

水玉猫

雪のように白く

 雪のように白く蒼ざめたあなたが、ぼくの前に転がっている。

 だめだよ。今更そんな目で見ても。



 あなたは寝物語に笑いながら言ったじゃないか。

「死に方が綺麗じゃなかった」

「でもさ」ぼくは煙草に火を付けて、あなたに渡す。「あなたは楽しんだんだよね」

「まあな。だが、途中で呆気なく死んじまった」

「彼は、剥きにくい林檎だったんだ」

「そうでもなかったけどな」

「ふうん。ぼくには最後までじっくり楽しませてよね」

 ぼくは、あなたの裸の胸に撓垂しなだかる。



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