第11話 一方その頃の地球では 2
再び地球――日本では。
「お嬢様の魂だけがどっか行ってるっぽいからあたしも探すわ!」
太陽の下で見れば綺麗に輝くであろう金髪を今は後ろ一本で纏めている、スカート膝上の制服姿の少女が、ベッドで目をハートにして動かない香峯子を見て言う。
彼女の名前は望杉
五美は香峯子と常日頃、おはようからおやすみまで、なんなら就寝中も一緒にいるボディガードの役割を担っていた。
「キュン死とかマジありえないんですけど、そんなのいくらあたしでも防げるわけないじゃん」
五美の視覚情報から香峯子の体重を計測したところ、体重が半分近く減っていた。
魂の重さは二十一グラム――という話があるが、香峯子の場合、それプラス彼への愛の重さでここまで体重が減少しているのだろう。
「……愛斗君への愛で構成されたお嬢様とか強すぎん?」
これといった特徴の無い男だが、その内に秘められてない一途な愛がもの凄く凄い男。
香峯子の愛してやまない人。
この気持ちは報われないのだが、それはまた別の話である。
五美は常に持ち歩いているキーホルダーなどがじゃらんじゃらん付けられているスクールバッグの中をゴソゴソ。
取り出したのは愛の数値を可視化するゴーグル。
こういうことが起きたから、この機能を標準装備にしようと考えながら、五美はそのゴーグルを装着。
香峯子の胸から出る、愛斗さん♡愛斗さん♡――という軌跡を辿り始める。
もしこの世界にあるのなら、そこまで急げばいいはず。もし見当たらなければ異世界に飛んでいるのだろうことが分かる。
「異世界から人が来たことはあるけど、まさか異世界に行くとか……それもお嬢様が行くとか結構ヤバいわ」
五美は軌跡を辿って行くが、どうもこの世界には香峯子の魂が無いらしい。
すぐに通信を繋いで、望杉家へと報告をする。
「やっぱお嬢様の魂は異世界に行ってるっぽいです」
とりあえず報告は完了した。後は望杉家の技術開発部がどうにかしてくれるだろう。一週間もあれば異世界に向かうことができるという計算結果が出た。
「まあ無事だと思うけど、心配だぁぁ‼」
その心配は香峯子のボディガードとしてではなく、五美個人の感情からを来る心配だった。
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