流れのままに
東雲
第1話
ある森に綺麗な泉がありました。
ひっそりとしたその泉は小さく、静かにそこにありました。
森は深く、人が入ることはありませんでした。
その為に、泉は誰にも知られることはありませんでした。
ただ誰にも知られることもなく、こんこんと大地から密やかに湧きだす水を集めてそこにありました。
空の青を、森の緑を、夕焼けの赤を、月の白銀を、その何色でもない泉は長い長い時間移り変わりながら映していました。
そんな静寂に包まれた泉に人が現れたのは何の縁か運命か。
変わらぬ泉はその日も森の緑を映していました。
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