第38話 好きな人にいじめたがるのって、なんなん。
頬が腫れてしまった生徒会会長。
そんな会長は、一緒に来ていた役員たちに簡単な治療を受けた。
「この僕を殴ったということで、君を退学にすることも出来なくもなくもなくもなくもなくもないんだけどね。」
「それ、出来ないんだか出来るんだか分からないから。」
「つまり、分からないということさ。」
「こっちは、セクハラで訴えてキミを退学にさせることが出来るかもしれない。」
「そっちも、微妙なんだね。」
そんな会話をした2人。
会長は、活動室に持ってきた拷問器具のような物に目を向ける。
「だけど、君がこれに乗りたがらないという事は、君に少しでも隠している事があるということになるんだけどね。」
「は!? そんなわけないでしょ!!」
「じゃあ、この器具に手足を通すといいさ。」
「ぐぬぬ。」
ミラン先輩はそう言われると、ゆっくりと立ち上がり、恐る恐るその器具に手足を通した。
「ふっふっふー、準備は出来たみたいだね。」
「あぁ、出来たよ。始めるなら早く始めな。」
「あぁ、すぐに始めるさ。さぁ、光秀くん! 入ってきたまえ!!」
会長が突然、そのような事を叫んだ。
すると、活動室の扉が勢いよく開けられた。
中に入ってきたのは、あの明智光秀だ。
「み、光秀!?」
真っ先に反応したのは信長だった。
「な、なぜ、お主がここに?」
「お久しぶりですね、信長様。実は私、ターボン学園の生徒会の役員になったのですよ。」
「なん、だと!?」
光秀が信長に近づいた。今にも喧嘩が始まりそうな雰囲気だ。
「さぁ、光秀くん。器具のボタンを押したまえ!」
「はい、承知しました。」
だが、そんな雰囲気を会長が打ち壊し、ボタンを押すように指示を出した。
光秀は迷いもなしにすぐにそのボタンを押した。
その瞬間だった。
ミラン先輩を拘束している手足から電流のようなものが流れた。
「!? 今、ビリってしたんだけど!?」
その直後、緊張感のある曲が流れ出した。
「ま、待って、これって嘘ついてなくても心臓がバクバクしちゃうんだけど、嘘って認識されないよね!」
ミラン先輩は慌てて会長に聞くが......
「安心したまえ。最初からこれは嘘発見器じゃなく、ただの服を脱がせる機械だ。」
その瞬間、ミラン先輩を拘束している器具から流れる電流とは違う電流がミラン先輩の体全体を一瞬で走り抜けた。
ただの怒りの電流だ。
刹那、器具の後方からマジックハンドのような手が飛び出し、ミラン先輩の着ている服を強引に掴む。
だが、ミラン先輩は動じなかった。
「【転移魔法】」
ミラン先輩がそう唱える。
すると次の瞬間、会長のすぐ目の前にミラン先輩が立つ。
「なっ!?」
「キミ、だいぶボクを怒らせたよ! めちゃくちゃ怒らせたよ!!」
「君、だいぶ僕を怒らせたよ! めちゃくちゃ怒らせたよ!!」
会長はふざけてミラン先輩の真似をした。
それが原因で、ミラン先輩の怒りが爆発した。
「黙れ! このクソ変態野郎ッッッッッッ!!!!!」
またしても、ミラン先輩の右アッパーが会長を襲った。
「グハッ!?」
会長は殴られた勢いで後ろへ飛ばされるが、その時にミラン先輩を拘束した器具のリモコンを制服の胸ポケットから取り出した。
「これでも、喰らえ!!」
会長は迷わず、そのボタンを押す。
すると、ミラン先輩の後ろにあった器具のマジックハンドが、ミラン先輩の服を強引に掴む。
「あわわわ!!」
そのままミラン先輩の服を引っ張りだし、そしてついには......
――ビリ、ビリビリビリビリ!!
ミラン先輩の来ていた服を勢いよく破いていった。
そのため、会長の目線の先には、肌色満載のミラン先輩が立っている。
「ッッッッッッ!!!!????」
「よっしゃ。」
ミラン先輩は【転移魔法】を使い、すぐに更衣室へと避難した。
そして、もう一度【転移魔法】を使い、会長の目の前に現れた。バスタオルを巻いただけのミラン先輩が。
「おりゃァァァァァァァァァァァァ!」
ミラン先輩の渾身の一撃が会長の溝へと入った。
会長は、音も立てずにその場に倒れていく。
「会長!」
そんな変態会長の所にすぐに駆けつけてきたのは、明智光秀だ。
「くっ、よくも会長を!」
明智光秀はそう言うと、他の生徒会の役員と共に会長を抱え、すぐに活動室から出ていった。
生徒会、それは嵐のような連中だった。
「信長くん、絶対にこっちを見ないでね。」
「お、おう。(怖くて見れるわけないだろォォォォォォォォ!)」
ミラン先輩の本気の拳は、絶対に怒らせてはいけない、という暗示なのかもしれない。
――――――――――
生徒会室にて。
「会長、大丈夫ですか?」
「僕は気を失っていたのか。」
目を覚ました会長は、何が起きたのかを思い出した。
「やってくれるじゃないか、ミランくん。」
「会長は、ミラン先輩とは知り合いなのですか?」
「幼なじみってやつだ。」
「そうだったんですね!」
「それにしても、ミランの裸が一瞬だけでも見れたから良しとしよう。」
会長は体を起こすと周りを見渡した。
「あら、光秀くんはどうしたのかね?」
「そういえば、見かけていませんね。」
「フッ、久しぶりの仲間との再会だ。もっと、ゆっくりと時間を取りたいのだろうな。今日は、光秀くんの好きなようにさせるといいさ。」
「分かりました!」
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