少女漫画のヒロインが好きになる男の人が本の中から出てきた
遺跡の入り口から男1人と女1人が出てくるのが見えた。
ミニスカ女騎士はびくびくしている。ピンク女の方を見つつ。
「ミハエルさん」
水鏡冬華が声をかける。
「ああ。とりあえず、うまくいきそう後はルシファーの力に溺れてそうな者からは反発があろうあれだな」
「ですね。さゆが倒した2人は絶対反発したから殺すタイミングがちょっと違っただけでしたね」
そこで女騎士――パオラ(水野陽夏)がミハエルの顔を見ながら疑問の声を上げる。
「反発って……?」
「ルシファーへのエネルギー供給を絶つためにルシファーとのリンクを絶たなきゃいけないんだ。
さもないとルシファーの手ごまが増えすぎて結構ルシファーの好き勝手にできるのよ。
あれね。将棋でこっち王様と何人かだけどあちらはうなるほど手がある。
これだといくらこっち1人1人がルシファーより強くても骨が折れる。
って言えばわかりやすいかな」
「はい。その例えなら分かります。将棋したことないけど」
と陽夏。それにミハエルは頷き、
「だからムーンショットしてる奴に基本私達が好感度マイナスから始まるのはそのせいなんだよね」
そこで真っ白で目が真紅の男――アリウス=シュレーゲルが口をはさんでくる。陽夏は
(少女漫画のヒロインが好きになる男の人が本の中から出てきた……。
それを言うならミハエルさんも黒い髪の真ん中で髪分けた人もだけど……。
こ、これは何だっけ悪の令嬢がなんとかとか異世界に白馬の王子様がどーたらどうたらかしら……騎士じゃなくロングドレス着るのが正解だったかも)
と思った。
「ルシファーと敵対する
でもルシファーは8番染色体をCrsper Cas9で消し、
つまり神の創造物を上から名前いれて悪魔の創造物にしてるわけだね」
「は、はぁ……」
と生返事を返す陽夏。アリウスは首をかしげて、
「あれ分からなかった? 賢そうな顔してたからいきなりズバリ言ってみたけど」
「えっと、そうですね……ちょっと……」
「まあ要はムーンショッターは遺伝子いじくられてるから遺伝子直さねえとルシファーのリンク完全にはとれねぇーのさ。
アリウスこれくらいわかりやすく言わねえとびっくりするでしょ?」
と、フレッド。アリウスは苦笑い。
「ネフィリムのDNAも入れられてるからはっきり言って悪魔人間なんだ。ムーンショッターは」
とミハエルが付け足す。さらに、
「ネフィリムのDNAがあるから、そんなのと結ばれたとしたら悪魔の赤ちゃんが生まれてくるから結婚できないな。さすがにネフィリムはな……」
彼のその言葉を聞いて陽夏の方がビクッと震える。
「そ、それってミ、ミハエルさんはその、む、む、ムーンショッターはダメだってことですか…………っ?」
縋りつきそうな目で彼の腕を掴みそう呟く。
腕を掴むと言うより腕にすがりそして腕を胸で挟むと言った感じだ。陽夏の瞳から涙が零れ落ちそうだ。
そして
まるでハントするかのように厳しい目でその光景を見る。
彼女はミハエルの嫁である。
ただヴァーレンス王国は一夫多妻制である。
だから貴族でなくとも元気な人は複数人嫁を持っている。
そんな冬華を見て、機嫌が戻ったのか
「半竜ちょ~っと鏡見た方が良い顔つきになってますわよ~オホホホホ!」
普通時は目の形からすごく穏やかに見える冬華だが怒りを含んだ目になると相当怖くなる。竜神だと思わせてくれる怖さである。
「うるさいアホ女」
「アホじゃないもんね~もんもん~ももももん~」
それを見ていたミハエルが、彼女ちょっとは気分すぐれてきたのだろうか(まだ残ってるだろうが)さゆに話しかける。
「さゆ、お願いがあるの」
「え。何々~。氷食べたいとかならいますぐ出せるよ!」
「いや今は氷バクバク食べたいってことないから。
そうじゃなくて、え~っと(陽夏、パオラ、どっちの名で呼ぼうか。陽夏が隠し名っぽい今の状況ならこっちか)、パオラ。
彼女が君の暴れっぷり見てトラウマ抱えそうになっているのだ」
そういうとさゆがパオラの方を見てキョトンとする。
「そんなに暴れたの? にしてはここ炎熱地獄にも大紅蓮地獄にも熱で空間にも時間にも穴空いてないんだけど」
アリウスが驚いた様子で口を挟む。地獄にできる程なんだとパオラがビクッと肩を震わす。
(熱で時間に穴開けるってどーゆー事!?)
パオラのその驚きは放っておかれ。
さゆはアリウスの言葉にぶんぶんと首振りで答えて、
「別に暴れる理由ないじゃん。頼まれなくたって暴れないわよ」
キョトンとした顔でさゆ。
「わたし怒っててもちゃんと相手みて暴れてますからね
半竜くらいじゃないの全ぶちギレで見境なしになるの」
「ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って。
わたしに火の粉飛ばさないでよ。わたしもそんな服を着た野獣モードにならないわよ」
――とそこでアリウスがみんなに呼びかける。
「遺伝子修理サポート装置大体準備できたよー」
そのアリウスの声でパオラの表情の影が取れる。
「あっ。遺伝子修復の手段あるんですか」
ミハエルがそれを聞いて笑う。
「中世の外観だからって文明もそれとは限らんよ。
魔法文明が発展したんでコンクリートジャングルみたいな自然にやさしくない姿にする必要がないって事さ。
この星の住民は機械文明は結構嫌っている
PCだって携帯端末だって魔力や霊気などで動くからね
つまりPCに魔力送ったら自分が電源で動かせるし携帯にも魔力を送れば動かせるんだよ。つまりわたしの星では電力会社と取引する人はいない」
「それって、大躍進に聞こえるんですが……」
と、パオラ。
「地球からしたらそうかもしれないね」
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