第71話 悲しい離別!再び出会う日まで俺は待つぜ!

「おい!なにかのまちがいじゃねぇか!?」


俺は試験官のアロセリアに突っかかった。


「試験結果に間違いは無い。452は失格だ」


ギョロ目の試験官は、目をぱちぱちさせながら言う。


「いやいやいや、フィーナは魔導のプロだぞ。こんな簡単な試験外す訳が無い」


「離せ。試験は絶対なのだぞ。結果は覆らぬ!」


俺とアロセリアの周りが他の受験生で囲まれている。


ここでフィーナとお別れなんて嫌だ。


「もう一度採点しなおせ!」


「それは無理だ」


アロセリアの代わりに、答えたのはエレキュシガル。


彼女は白馬に跨り、馬上から凛とした声を俺に投げかけて来た。


「これ以上、騒ぐなら、試験を妨害したとしてお前も失格だ!」


「うう……」


俺はあとずさりした。


失格は何としても避けたい。


なぜなら、この学校イベントでは様々なことが起こる。


フラグを立て、希少アイテムを手に入れ、強いスキルと魔法を身に付け、人脈を作る。


それが奪われてしまう。


普通の伸びしろの普通のステータスの村人カイトで魔王と戦い、かつ、勇者リムルの先回り妨害をするためには、この学校生活が必要なのだ。


「分かったか?受験生は試験結果に従わなければならない」


エレキュシガルは凛とした声で俺に宣言した。


「だが……」


フィーナは出来る子だ。


俺が認める。


「カイト、もう、いいんだ」


「え?」


フィーナは俯いたままそう言った。


彼女は胸に着けた452の名札を外し、それを試験官に手渡した。


「さようなら」


そう言うと去って行った。


「フィーナさん!」


「フィーナぁ!」


アオイとエミリアが泣いている。


いつもはケンカしてるのに。


「ううううあああああ!」


俺もいつの間にか泣いていた。



フィーナがパーティから外れました。


無情にもミナミの声が脳内に響く。

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