第39話 完敗の勇者!俺の手の平で転がされてるだけだった。

「受けて見ろ!僕の正義の一閃!」


銀の剣によるリムルのスキル発動。


「ぐっ!」


速い。


俺の体力ゲージの1/8が減少する。


「まだまだ!二段切り!」


飛び上がるリムル。

着地するまでの間に、俺を横薙ぎに二発切り捨てる。


「くっ!」


俺の体力ゲージの1/4が減少する。


「リムル、やれー!」


観客が盛り上がる。

皆、リムルに賭けていた。

俺より優れた容姿を持つリムルが勝つと誰もが思っていた。


「きゃあ!カイトさん!」

「カイト、意地はらないで負けを認めたほうがいいわよ。そして、リムルを仲間にしましょう」


アオイとエミリアが停戦をすすめてくる。


そんな中、


「負けんな。カイト」


誰が見ても俺ピンチなのは明白。

そんな中、フィーナだけがまだ俺を信じていた。


お前のその俺への信頼。


ただしいぜ。


「さ、カイト君。諦めるんだ」


余裕の笑みを浮かべ、攻撃の手を止めたリムル。

実力差を見せつけ、俺を見下しているのが分かるほどの憎らしい顔。


「へ、その顔、覚えてるぜ」


「なんだと?」


「いや、こっちの話だ」


ゲームで俺を殺す前のリムルにソックリの顔だ。


「俺は一度言ったことは曲げねぇ」


「でも、そんな体じゃもう無理だろう」


「へへへ、お前に犬の真似をさせるためには俺は負けは認めん」


「貴様……」


リムルは歯ぎしりしながら俺を睨みつけた。


「閃光切り!」


リムルの現時点での最強スキル発動!


奴の身体が光に包まれ突進して来る。


「ばぁか!全部見切ってたんだよ!」


俺は突っ込んで来るリムルを数ミリ単位で避けると同時に、その脇腹を、金の剣で横薙ぎに払う。


「ぐあああ!」


リムルの体力ゲージが一気に半分に。


「ば、ばかな!貴様!」


声を荒げるリムル。


「お前に束の間の優越感を味わってもらうために、わざとスキルを喰らってやってたんだよ。最初から全部お見通しなんだよ」


「うっ!」


「閃光切りという現時点のお前の最強スキルを封じて見せることで、俺はお前に絶望を与えてやりたかったんだぜ」


リムルの顔は真っ白になり絶望しているのが分かる。


「つまり、お前は俺の手の平の上で転がされてたのさ」


「なぜ、僕にそこまで……」


ポツリと問い掛ける。


「さぁ、生理的に気に喰わない奴ッているじゃん。それと同じかな」

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